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李登輝元総統が「学問のすゝめと日本文化の特徴」をテーマに講演 (1/2ページ)
沖縄訪問中の李登輝元台湾総統は23日、宜野湾市内の会議場で「学問のすゝめと日本文化の特徴」をテーマに講演し、馬英九政権下にある現在の台湾を「五里霧中の中にある」と表現、「民主台湾」の後退に危機感を表明した。
講演は日本文化の分析が基調だが、この中で李氏は「今、大切なのは太陽だ。強い太陽に照らされて霧が晴れれば、人民は初めて自らの道、国のゆく道が見えてくる」と指摘。馬政権が進める対中融和政策で台湾が自らの「信念」を失えば、台湾の民主化路線と「主体性」は形骸(けいがい)化すると危機感をにじませた。
初訪問した沖縄については「戦後の沖縄と内地の違いは、沖縄は自分なりの発展を遂げたということ。ここに精神的なものがあり、感服している」と述べた。また沖縄戦がなければ台湾が米軍の攻撃対象になったとし、台湾と沖縄は戦争の犠牲を忘れず、「心と心のきずなを築こう」と呼びかけた。
■台湾の李登輝元総統が行った講演の要旨は次の通り。
福沢諭吉は「初段は掃除破壊の主義にして、第二段は建置経営の主義なり」と記したことがあるが、「学問のすゝめ」はこの初段に属する第一書といえる。これより以前の福沢といえば、西洋事情の紹介、新知識の普及を主眼とするものにとどまり、イデオロギー的な思想闘争ともいうべきものは、まだ企てられてはいなかった。
明治政府が革新政策を実行したその果断は、福沢をはじめ、当時の文明主義者を驚喜せしめるものがあった。新政府の果断なる実行をみて、福沢は新しい希望と抱負をもち、新しい日本の思想的指導者の任務を自ら課する気持ちに進んできた。「全国の人心を根底から転覆して」という誓願が形となって現れたのが「学問のすゝめ」だ。