春を告げるイメージ 九州新幹線は「つばめ」
 
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列車名が「つばめ」に決定した九州新幹線の完成予想図
 JR九州は二十日、来年三月に新八代―鹿児島中央(現西鹿児島)間で部分開業する九州新幹線の列車名を「つばめ」にすると発表した。現行の特急つばめ(博多―西鹿児島)は、新八代で新幹線に接続する「リレーつばめ」号に改称。戦前から日本を代表する特急列車に引き継がれた伝統の列車名が、九州を代表する超特急の名前として生まれ変わる。
 同社は一月二十日から列車名を一般公募した。全国のJRグループが実施した列車名公募では最高の十三万三千八百六十三通の応募があり、「つばめ」は応募数で五番目(二千三百七十五通)だった。
 石原進社長は「列車名としてスピード感があり、南から飛んできて春を告げるイメージが鹿児島から北上する九州新幹線に最もふさわしい」と語った。

【解説】九州新幹線、「つばめ」に決定 伝統と知名度重視
 JR九州が公募していた九州新幹線の列車名が「つばめ」に決まった。十三万通を超えた公募のトップ「はやと」や二位「さつま」などを抑え、あえて現行特急と同じ「つばめ」を選んだのは、ざん新さより旧国鉄時代からの伝統と知名度を重視した結果だ。
 つばめ(燕)は、戦前の一九二九年、旧鉄道省が初めて行った列車名公募で二位となり、長年にわたり旧国鉄の看板列車に継承されてきた。プロ野球球団「国鉄スワローズ」が誕生するなど、全盛期の国鉄のブランドイメージでもあった。
 JR九州が九二年に鹿児島線の特急として十七年ぶりに「つばめ」の名を復活させた際、JRグループ各社に事前に了解を求めたほど、国鉄マンにとって愛着ある列車名。「国鉄消滅を本当に実感したのは九州に『つばめ』が走ったとき。つばめは分割民営化したJR九州の象徴だ」と語る幹部は多い。石原進社長も「九州に残したいという思いが強くあった」と言う。
 半面、新鮮味の薄さは否めない。公募では既存列車にない「みらい(未来)」が三位に入り「つばめ」を上回った。十八位の「きぼう(希望)」など未来志向の名が上位に目立ったのは、九州の将来を切り開く新幹線に対する期待の現れである。高速バスや飛行機との競争が厳しさを増すなか、新幹線の競争力を高めるには、伝統に縛られない発想で利用者本意の価格、サービスを充実させていくことが必要だ。
 (経済部・前田徹)
2003.03.21
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