日本栄養・食糧学会誌
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ドキソルビシン, メルファランおよびメトトレキサートの抗腫瘍効果に影響する食品の検討
岩本 祥子須永 克佳原田 園子大久保 温子津田 整
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2011 年 64 巻 6 号 p. 393-401

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抄録

近年では機能性食品やハーブ, 健康食品などを用いた補完代替療法への関心が高まり, がんの予防効果や抗腫瘍活性が期待される食品やハーブ類の使用が増加している。それらの食品の機能性の研究は活発に行われているが, 化学療法薬との相互作用についてはあまり検討されていない。本実験では俗に悪性腫瘍に有効とされ, がんの化学療法を受けている患者が積極的に摂取する可能性がある8種の食品やハーブの酢酸エチル抽出物を被検試料として, 化学療法薬であるドキソルビシン (DOX), メルファラン (L-PAM) およびメトトレキサート (MTX) と相互作用を引き起こす可能性について検討した。ヒト肝がん由来細胞株HepG2細胞に対するDOX, L-PAMまたはMTXの生存細胞数の減少作用に対する被検試料の影響を検討した結果, チンピおよびホウレン草, 緑茶がL-PAMの作用を, また, チンピおよびブロッコリー, 緑茶がDOXの作用を減弱する効果が認められ, 抗腫瘍効果を減弱する可能性が示唆された。

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© 2011 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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