【MotoGP】悩める天才、ロッシ。派手な場外乱闘を発奮材料にできるか?
2011.05.05
- 西村 章●取材・文 text by Nishimura Akira このライターの記事一覧 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu
そもそもこのふたりの因縁は、08年のUSGPにさかのぼる。ラグナセカサーキットで激しいトップ争いを展開した両名は、ストーナーがコースアウトして転倒。再スタート後2位でフィニッシュする一方、ロッシはその後独走態勢に入って優勝、という形で決着した。
このバトルの応酬では、ストーナーはロッシに対して「クリーンなオーバーテイクもあったが、いくつか度し難い挙動をされた」とレース後も憤りを隠そうとしなかった。それに対してロッシは、「あくまでクリーンないいバトルだった。レースとはそういうもの」と受け流した。
それ以来くすぶり続けていたふたりの感情が、先日の第2戦の接触でふたたび派手に火花を散らしはじめた、というわけだ。
第3戦の金曜フリー走行では、ロッシに背後に着かれたストーナーが、バイクのリアを叩いて挑発し、「人間を見つけてはついてまわる犬っころみたいな行為」と揶揄すると、ロッシも「そんなにうしろに着かれるのがイヤなら、ひとりでレースすれば?」とやり返した。さらには、「まるでメルボルン病院の名医か何かになったつもりでこっちの肩のことをいろいろ話してるようだけど、何をわかってるっていうんだい?」とも。
あるいは、ロッシが現在のデスモセディチGP11で苦戦を続ける様子について、昨年までドゥカティにいたストーナーが「基本的には昨年後半仕様GP10の延長線上のマシン。GP10で僕は後半戦に3勝してるんだけどねぇ」と皮肉れば、ロッシも負けずに「でも3戦で転倒リタイアしてなかったっけ!?」と応戦する。
スペンサーvsロバーツ、シュワンツvsレイニー、という過去の例を見ても、激烈なライバル関係は数々の名勝負を生み出す。だが、今年のロッシがコース上でストーナーとバトルを繰り広げるまでは、まだ少しの時間がかかりそうだ。
ちなみに、第3戦ポルトガルGP翌日に各チームが行なった事後テストでは、レースウィークよりも好天に恵まれたこともあって、ストーナーは予選タイムを大きく上回る1分36秒602秒を記録。
一方のロッシは、現状の課題であるブレーキングや旋回性の改善を狙った新しい車体やセッティング変更にトライし、好感触を得たとコメントしている。2週間後の次戦フランスGPでは、舌戦ではなくコース上で両選手のファイトを見ることがはたしてできるだろうか。
- フォローする
- @websportivaさんをフォロー
- キーワード: