「長いこと落語を聞いてきましたが、こんなことは初めて。AKB48の文字が今、寄席の高座に掲げられているんです」
演芸評論家がそう伝えてきた。東京都台東区の寄席、上野鈴本演芸場。落語の殿堂とAKB48にどんなつながりがあるのか。現在、同演芸場では落語協会所属の新真打ちの披露興行中。今春昇進したのは、林家ひろ木、春風亭三朝、柳家小八、三遊亭ときん、鈴々舎馬るこの5人。
3月21日から10日単位で都内の4軒の寄席をまわると、5月11日から20日は東京・隼町の国立演芸場。計50日のお披露目だ。新真打ちはそこで均等な日数のトリを務める。
お披露目の高座には後ろ幕というものがある。高座の後ろに飾られる巨大な幕で、ごひいき筋から贈られることが多い。その前で口上を行い、新真打ちがトリを取る。
その後ろ幕にAKB48の名前があるのだ。全面ピンク地で、真ん中には送り主の似顔絵。幕の左側に「AKB48」、そして右側には「岡田奈々より」と染め抜かれている。高座よりも巨大な岡田奈々の似顔絵に目が行くほどのインパクトだ。
岡田もツイッターで「後ろ幕を贈らせていただきました」とつぶやいている。前出・演芸評論家がひもとく。「もともと三朝は、二つ目時代からAKBファンで、着物姿で握手会によく顔を出しメンバーにも認識されている。岡田奈々推しで、先月あった披露パーティーでも、おじ弟子にあたる春風亭小朝が岡田のメッセージを読み上げました。小朝はAKBの特別公演でセットリストを考えたこともありますが、両者を結び付けるのに骨を折ったようです」