寺原は近鉄の連勝とチームの連敗を止める力投

　【ダ４―２近】ダイエー・寺原が止めた。開幕５連勝の近鉄と、チームの連敗を止めた。新垣、和田を攻略した「いてまえ打線」を七回途中まで６安打２失点に封じて、今季初登板で初勝利をマーク。力投でルーキー二人の敵を討った。

　「自分がしっかりと抑えて、流れを変えたいと思っていた」

　オープン戦の不調がうそのようだ。プロ２年目で初対戦の近鉄に序盤から全力で立ち向かった。オープン戦では140キロ台前半だった速球は最速148キロ。それにカーブ、スライダー、チェンジアップを交えた緩急も生きた。三振はローズから奪った１個だけだったが、堂々とした“勝つピッチング”に、新垣も「落ち着いてましたね」と感嘆した。

　２月の高知キャンプからオープン戦と投球フォームが固まらずに出遅れた。開幕投手の本命が先発ローテーション６番目に降格。だが、先発生き残りも危ぶまれた怪物は、大舞台になればなるだけ燃えた。「本ちゃんで強い寺原が本領を発揮したね」と王監督もその勝負強さに舌を巻いた。

　昨季も連敗中に４度先発して３度止めた。それでも寺原は「みんなに助けられました。ありがたいです。やっぱり緊張しました。最初の先発だったし、初めての近鉄戦だったから」とあどけない笑顔を見せた。頼りになる２年目の右腕が、順調なスタートを切った。

　≪吉田初100Ｈ≫左の中継ぎエース吉田が初の100ホールドの記録を達成した。１点差に迫られた直後の七回１死一、二塁で寺原からスイッチ。大村、水口を打ち取り、その後もリードを守り抜いた。「寺原に白星をつけることしか考えてなくて、ホールドのことは頭になかったよ」。97年５月14日の近鉄戦で初ホールド。ここ５年連続で50試合以上登板してきた縁の下の力持ちに日が当たった。


近鉄　開幕６連勝ならず