地方福岡“独り勝ち”→進む役割分担 北部九州3空港2014.1.23 03:08

  • [PR]

地方

  • メッセ
  • 印刷

福岡“独り勝ち”→進む役割分担 北部九州3空港

2014.1.23 03:08

 ■LCC、貨物…得意分野に特化

 「欧州から福岡空港を経由して日本各地や韓国へ向かう乗客が増えてきた。西日本、アジアのハブ空港になりつつあります」

 新ターミナルビルの設計発表の記者会見で、福岡空港ビルディングの鶴田義裕地域・広報部長はこう語った。

 九州の空港を見回すと、福岡空港(福岡市博多区)の独り勝ちが加速している。

 国内線25路線、国際線19路線は地方空港として最大規模で、平成24年度の乗降客数は羽田、成田に次ぎ3位。これまでのアジア便に加え、昨年4月には初の欧州直行便となるアムステルダム便が就航した。

 格安航空会社(LCC)の普及に伴い、航空会社間の競争は激化の一途をたどる。航空会社は、収益性の高い路線を求めて、福岡空港への就航を次々と希望している。

 だが、福岡空港はパンク寸前だ。25年度の離着陸回数は、円滑運航の目安である14・5万回を大幅に上回り、17万回を超える見通しとなっている。

 過密化への対策は、遅々として進まない。国土交通省は誘導路の複線化を平成31年度中にも完成させるが、離着陸回数では4千回程度の増加しか見込めない。現滑走路に平行して作る新滑走路の運用開始は、早くても10年後となる。

 航空会社が福岡への就航を希望しても断るケースも多く、路線増の好機をみすみす逃している。

 この現状に、九州の行政、経済界からは、佐賀空港(佐賀市)と北九州空港(北九州市小倉南区)の北部九州3空港で役割分担を求める声が日増しに大きくなっている。

 昨年12月、佐賀空港に国際線専用ビルが完成した。鉄骨3階建てで、延べ床面積は約2400平方メートル。出国審査場や免税店なども備え、約9億円をかけて佐賀県が整備した。

 狙いはLCCの誘致だ。

 佐賀空港は23年に大阪(伊丹)便が運休となるなど、路線縮減が進んだ。その替わりとばかりに、佐賀県は海外LCCの誘致を進め、24年に中国の春秋航空が上海便を就航。昨年12月に韓国のティーウェイ航空がソウル便を就航させた。

 政府は東南アジア方面から日本への集客を強化する方針を立てており、今後、東南アジアと九州を結ぶLCC市場の拡大が予想される。過密化した福岡空港に比べ、発着回数に余裕があり、福岡都心まで約1時間の佐賀空港は、LCCに魅力的に映るかもしれない。

 一方、24時間空港として平成18年に開港した北九州空港も苦戦が続く。同空港を拠点とするスターフライヤーが経営難に陥ったこともあり、今年3月に唯一の国際線だったソウル便の運休が決まった。24年度の乗降客数は126万人で、開港以来最低となった23年度の117万人からわずかに復調したものの、低空飛行が続く。

 北九州市は、貨物輸送に活路を見出す。

 昨年5月、日本貨物航空の貨物専用定期便(韓国・仁川-成田)の経由地となった。北九州空港で半導体や精密機器などの電子部品を積載し、成田から世界各地へ輸出している。また昨年11月には、台湾-成田の貨物便も立ち寄るようになった。

 輸出企業にとってコストや輸送時間の低減というメリットがあり、九州だけでなく、中国地方の企業の利用も目立つという。

 この結果、空港移転前の17年度に407トンだった取扱量は、24年度に1万3613トンまで増えた。

 北九州商工会議所の利島康司会頭(安川電機特別顧問)は「貨物だけでなく、24時間空港の特性を生かした国際線就航なども進めてほしい。時差の関係で真夜中に出発した方が便利な目的地もある」と語る。福岡空港ビルディングの麻生社長が、福岡・北九州両空港の一体的な運営に前向きなこともあって、役割分担の進展に期待が高まる。

 福岡空港の独り勝ちから、3空港の共存共栄へ。役割分担を進めるには、佐賀、北九州両空港から福岡都心への交通アクセスの改善などの課題解決が必要となる。(大森貴弘)

  • [PR]
  • [PR]

[PR] お役立ち情報

PR
PR

編集部リコメンド

このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。
© 2014 The Sankei Shimbun & Sankei Digital