日本家政学会誌
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豚肉に含まれる脂肪酸量と調理方法のコレステロール量の変化に対する影響
杉山 寿美徳山 留美泊野 有紀子石永 正隆
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2000 年 51 巻 5 号 p. 387-394

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抄録

日本人の血清総コレステロール値は増加傾向にあり, また, 冠動脈疾患の死亡率とコレステロール摂取量に相関が認められることから, 高脂血症体質の人に対して食事性コレステロール量の管理が推奨されている.
本研究は, 通常の調理操作により一般食材のコレステロール量がどのように変化するのかを明らかにすることを目的に, 市販の豚ロース肉 (脂身つき) を試料として, 調理過程「ゆで」「妙め」「揚げ」の前後におけるコレステロール量をガスクロマトグラフィーにより測定した.
調理前の豚肉に含まれる脂肪酸量とコレステロール量の間に有意な相関は認められなかった.調理過程「ゆで」「妙め」においてコレステロール量は減少するものの, 「ゆで」ではその減少は有意なものではなく, 「妙め」では高脂肪酸量の豚肉 (33.8%) の場合に有意な減少 (79.9%) を示した.また, 調理過程「揚げ」においては, 衣をつけた状態からは有意な減少 (76.4~89.6%) を示し, 衣の材料として用いた鶏卵に含まれるコレステロールの溶出していることが推測された.
以上の結果より, コレステロール摂取量減少のための方法として, 調理操作によるコレステロール量減少は, 少なくとも豚肉においては容易ではないと考えられた.

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