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星野源さんが新曲『ドラえもん』で取り入れたニューオーリンズサウンドとは?

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる音楽コラム「セカンドライン」特集

※以下、番組内容書き起こし by みやーん(文字起こし職人)

【高橋芳朗】
金曜ミュージックプレゼントは今日の放送でちょうど100回目、そんな記念すべき回にお届けする特集はこちらです! 「星野源さんが新曲『ドラえもん』で取り入れたニューオーリンズサウンドとは?」。 現在公開中の『映画ドラえもん のび太の宝島』の主題歌として大ヒット中の星野源さんのニューシングル「ドラえもん」。今日は、星野さんが「ドラえもん」で取り入れたニューオーリンズのサウンドを皆さんと一緒に楽しんでいきたいと思います。

【ジェーン・スー】
よろしくお願いします。

【高橋芳朗】
さっそくですが星野さんが今回の「ドラえもん」で取り入れたニューオーリンズのサウンド、これはニューオーリンズ発祥の「セカンドライン」というリズムを指しています。セカンドラインはニューオーリンズの「ジャズフューネラル」(ジャズ葬)と呼ばれる伝統的な葬儀で行われるブラスバンドを伴ったパレードから生まれたと言われています。

【ジェーン・スー】
ふーん、そうなんだ。

【高橋芳朗】
では典型的なセカンドラインのリズムを聴いてみましょうか。ニューオーリンズの重鎮ピアニスト、ドクター・ジョンの「Iko Iko」という曲のイントロ部分をループさせた音源をつくったのでまずはそちらをお聴きください。

(ドクター・ジョン「Iko Iko」のループ音源が流れる)

【高橋芳朗】
これがオーソドックスなセカンドラインですね。堀井さん、わかります?

【堀井美香】
はい、わかります。

【ジェーン・スー】
美香ちゃん、手拍子してリズムとってみて……そうそう!

【高橋芳朗】
セカンドラインの基本を理解したところで、続いて星野源さんの「ドラえもん」のイントロ部分をループした音源を聴いてもらいましょう。

(星野源「ドラえもん」のループ音源が流れる)

【高橋芳朗】
星野さんの「ドラえもん」は変型セカンドラインなんですけどね。星野さん曰く、セカンドラインと『笑点』のテーマソングのハイブリッドとのことです。どうでしょう、共通したものを聴き取ってもらえましたでしょうか?

【ジェーン・スー】
うん、大丈夫。

【高橋芳朗】
じゃあ先に進めますね。今回は、その星野源さんの「ドラえもん」も含めてセカンドラインのリズムを使った洋画/邦楽をノンストップミックスにしてみました。尺的にはだいたい10数分。これでセカンドラインのリズムを完全に体に叩き込んでいただたきたいと思います。ではいってみましょう、星野源さん「ドラえもん」大ヒット記念のセカンドラインノンストップミックスです!

01. Dr. John – Iko Iko(1972)

02. 星野源 – ドラえもん(2018)

03. 大瀧詠一 – ハンド・クラッピング・ルンバ(1975)

04. かまやつひろし – お先にどうぞ(1975)

05. 久保田麻琴と夕焼け楽団 – バンバンバン(1973)

06. Lowell George – Two Trains(1979)

07. The Meters – Hey Pocky A-Way(1974)

08. Tin Pan – ハンド・クラッピング・ルンバ2000 feat. 忌野清志郎(2000)

09. 山下達郎 – DONUT SONG(1996)

10. ORIGINAL LOVE – フィエスタ(1994)

【高橋芳朗】
というわけで計10曲、もうセカンドラインは頭に入りましたか?

【ジェーン・スー+堀井美香】
わかりました!

【高橋芳朗】
おー、よかったよかった。では最後にもう1曲聴いていただきましょう。吉田美奈子さんの「ラムはお好き?」、1976年の作品です。この曲は作詞/作曲を細野晴臣さんが手掛けていますね。先ほどのノンストップミックスでかけたセカンドラインの曲を初級編とするならば、これはさしずめ中級編といったところでしょうか。ここに忍ばされているセカンドラインを聴き取ってもらえたら今日の特集は大成功、第一関門突破と言っていいと思います。

11. 吉田美奈子 – ラムはお好き?(1976)

【ジェーン・スー】
おしゃれやなー!

【高橋芳朗】
それでは最後に総括させてください。今日聴いてもらった曲からうかがえると思うんですけど、ニューオーリンズのセカンドラインのリズムを用いた企画性の強い曲やちょっとコミカルでユーモラスな曲、いわゆるノベルティーソングは大瀧詠一さんと細野晴臣さんのお家芸だったわけですよ。このおふたりがニューオーリンズの泥臭いサウンドを日本の洗練されたポップスに昇華させた先駆者なんです。で、星野源さんが普段から細野さんや大滝さんからの影響を公言していることを踏まえると、今回の「ドラえもん」はニューオーリンズのサウンドを使って数々の素晴らしいノベルティソングを残してきた細野さんや大瀧さんへのオマージュといえるのではないかと。個人的にはそう考えています。

【ジェーン・スー】
なるほど。

【高橋芳朗】
そもそも、星野さんは2年前に細野さんからコンサートのステージ上で「未来をよろしく」と言われたことを受けて、細野さんの意志を継承する決意表明的な曲をつくっているんですよ。それは昨年の星野さんの全国ツアーのタイトルにもなった「Continues」という曲なんですけど、この「ドラえもん」という曲はまさに星野さんが細野さんや大瀧さんのバトンを受け取った「Continues」といえると思います。

【ジェーン・スー】
うんうん。

【高橋芳朗】
さらに言うと、星野さんはここ数年ブラックミュージックをはじめとする海外の音楽への憧れを日本の情緒を通して表現した「イエローミュージック」というコンセプトを標榜しているんですけど、ニューオーリンズ生まれのセカンドラインを『笑点』のテーマと掛け合わせてJ-POPに落とし込むというアプローチはまさに「イエローミュージック」そのもの。だから、今回の「ドラえもん」という曲は国民的アニメの主題歌として果たすべきノベルティソング性を追求しながらも、星野さん自身のルーツや作家性も強烈に打ち出しているんです。それを見事に両立してみせたところが、この曲の音楽的な部分の肝、凄さなんじゃないかと考えています。

【ジェーン・スー】
皆さん、今日の夜は飲み屋でまるで自分が発見したことのようにヨシくんが話したことをしゃべってください。

【高橋芳朗】
フフフフフ。こちらからは以上です!

【ジェーン・スー】
いやー、今日は濃密でしたね。来週の101回目もよろしくお願いします!

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア(稀にかかる邦楽はディレクター選曲)。最新1週間のリストは以下です。

3/5(月)

(11:03) Half a Minute / Matt Bianco
(11:44) Give It Some Emotion / Tracie
(12:16) Sugar Finney / Everything But The Girl
(12:50) Who’s Fooling Who / Working Week

3/6(火)

(11:05) Reach Out I’ll Be There / Four Tops
(12:16) Heaven Must Have Sent You / The Elgins
(12:50) Little Darling / Marvin Gaye

3/7(水)

(11:03) Nice Folks / The Fifth Avenue Band
(11:44) Beginnings / Chicago
(12:16) Back in Love Again / The Buckinghams

3/8(木)

(11:02) Agua de Beber / Astrud Gilberto
(11:16) Doralice / Stan Getz & Joao Gilberto
(12:43) O Que Eu Gosto de Voce / Doris Monteiro
(12:18) Vejo a Tarde Cair / Johnny Alf

3/9(金)

(11:04) Doo Wa Ditty / Zapp
(12:15) Controversy / Prince
(12:48) Spice of Life / Slave