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【世界を読む】「最も貧しい大統領」の温情がアダ…南米小国が助けたシリア難民「出国させろ」の皮肉

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「最も貧しい大統領」の温情がアダ…南米小国が助けたシリア難民「出国させろ」の皮肉

南米のウルグアイに受け入れられた中東のシリア難民。生活への不満を募らせ地元との軋轢が生まれている=9月、モンテビデオ(ロイター) 南米のウルグアイに受け入れられた中東のシリア難民。生活への不満を募らせ地元との軋轢が生まれている=9月、モンテビデオ(ロイター)

 シリア難民の受け入れを決めたのは、今年3月まで5年の任期を務めたムヒカ前大統領だ。ムヒカ氏は在任中、給与の9割を慈善事業に寄付し、小さな家から古いフォルクスワーゲンのビートルを運転して通勤した。「現代人はモノを買うための労働に追われ過ぎている」といった、含蓄ある言葉を集めた書籍は日本でも人気だ。「世界で最も貧しい大統領」とも言われたが、本当に苦しい人々への援助は惜しまなかった。

 農業国ウルグアイの労働者の4割は月に500ドル程度の収入という。小さな国家予算から政府は、難民に住居や月々の手当ても与えた。「清貧な大統領」に招かれた人々がより豊かな国へ移住を求めるのは、皮肉な状況といえる。

「行きたければ行けばいい」

 ガソリを浴びたアルジェビリさんの子供を、時々アルバイトに雇っていた食堂経営の女性はAP通信に、難民と政府のどちらに問題があるのかわからないと、困惑の様子。「この人たちは多分、もっとお金がある国に来るつもりだったんでしょうね」と話した。

 政府は今年2月、第2弾として72人の難民を受け入れる予定だったが、混乱を受けて延長された。

 政治アナリストのダニエル・チャスケティ氏は「ウルグアイは機会にあふれた国ではない」と言い、文化的な違いや、難民たちが備える仕事の技量を考慮しなかった政府の見通しの甘さを指摘した。

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