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【サタデープラス】「妖怪ウォッチ」主題歌作曲・菊谷知樹さんに聞くアニメのいろは

2014年11月29日15時0分  スポーツ報知
  • 笑顔を見せる菊谷知樹さん

    笑顔を見せる菊谷知樹さん

 子供たちの間で大ヒット中の「妖怪ウォッチ」だが、キャッチーなリズムに独特の振り付けで子供たちの間で大人気となっている楽曲も魅力の一つ。子供たちを魅了する楽曲の裏側にはどんな秘密が隠されているのか。アニメ「妖怪ウォッチ」の楽曲「ゲラゲラポーのうた」「ようかい体操第一」や、12月20日から公開される「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」の主題歌「ゲラゲラポー走曲(そうきょく)」などを手がけた作曲家の菊谷知樹さん(46)に聞いた。(小島 和之)

 これまでに謎の3人組ユニット「キング・クリームソーダ」が歌う「ゲラゲラポーのうた」「祭り囃子でゲラゲラポー/初恋峠でゲラゲラポー」「Dream5」の「ようかい体操第一」「ダン・ダンドゥビ・ズバー」などを手がけてきた。

 社会現象になるほどの大ヒットに本人も困惑を隠せない。「あまりの大ヒットにビックリしてます。評判がいいことは聞いてたけど、親戚から『いま見てるよ』と電話がかかってくるようになって、子供たちに本当に浸透しているんだなと感じるようになった」と笑う。

 アニメ「妖怪ウォッチ」のオープニング曲として大ヒットした「―のうた」は曲中でロック、ラップ、民謡調の3つのジャンルが混在する楽曲。音楽プロデューサーから「3人の得意分野を生かした曲に」とイメージを聞いた際は「突拍子もない話だな」と思ったという。

 曲中で3人がそれぞれの得意分野を歌う楽曲は、菊谷さんにとっても初めての経験だった。「3人がどういう歌声と音域なのか。それが分からないとこの曲は作れない」と考えた菊谷さんは、作曲作業に入る前には3人の歌声を直接チェックし、イメージをふくらませてから作業に入った。

 こだわったのは「子供たちが聴く曲」という前提を崩さないこと。「ラップが速すぎてしまわないようにとか、子供たちが口に出しやすいテンポを意識しました。ダンスがあることも決まっていたので、子供たちが気持ちよく踊れるテンポを目指しました」と明かす。

 サビの「ゲラゲラポー♪」の部分は、曲のリズムに乗りやすいように同じテンポで何度も「ゲラゲラポー♪」と歌詞を繰り返すリズム。さらに、リズムに合わせて「ゲラゲラ」で両手を胸の前で交差し、「ポー」の部分で両手の人さし指で空を指さすような振り付けは、子供たちもまねがしやすくヒットにつながった。

 その結果、できあがった「―のうた」だが、当時は「(ヒットするか)半信半疑だった」という。「半分は『いままでにないすごいものができたんじゃないか』という気持ちで、半分は『不安』。本当に半分半分でした」

 その楽曲がなぜ、これほどの大ヒットとなったのか。理由について菊谷さんは「若干気味が悪いところが良かったのかもしれない」と説明する。

 確かに、民謡調で歌うマイコ(年齢非公表)のパートは、ゆったりとしたメロディーと「おてらのおやねは 夕やけ舞台」などの歌詞が薄暗い夕方をイメージさせどことなく気味悪い雰囲気を漂わせる。

 「子供たちは怖がってしまって曲を聴いてくれないんじゃないかと思った」と当時の心境を明かし、「でも、それがうまいことアニメキャラクターの見た目と相まって化学反応を起こした。気味の悪いメロディーと、キャラクターのかわいらしい見た目がうまくマッチしたんだと思います」と分析した。

 初代エンディング曲となった「ようかい体操第一」は、曲に合わせてアニメキャラクターたちがかわいらしく踊る映像に加え、「朝寝坊」「ピーマンを食べられた」など小学生が共感しやすい歌詞とリズミカルなメロディーにマッチした振り付けが大人気になった。

 曲作りの前提は「体操であるということ」。プロデューサーからは「歌える曲を作る、という感じではなく“体操の曲”というイメージで」と指示があったといい、作曲に入る前には振り付けを担当したラッキィ池田氏(55)に動きのイメージを確認。「この曲はサビのためにそれまでのメロディーがある曲ではなくて、それぞれのパートがただ連なっているだけ。体操だと割り切って作曲しました」という。

 リズムを付ける際に注意したのは「子供たちにいかに踊ってもらうか」。体操であることを意識し、意図的に「それぞれのパートが、あまりきれいにつながらないようにしました。また、(歌詞の)『ウォッチ!今何時?』の部分は、そこでワンクッションおくような意味も込めてあります」と明かす。結果、まるでラジオ体操のように各パートごとのリズムが全く異なる曲が完成した。

 「―のうた」とともに同曲もヒットしたことで、別の驚きがあったという。「この曲は体操なので、あまりポップにしないようにしました。ですが、それが逆にウケているからビックリしているんです」と笑った。

 子供心をくすぐる楽曲を作るには、自らも子供たちの心理を知る必要がある。菊谷さんの場合は自身の幼少期の記憶がヒントになっていたという。「『自分の小さいころはどうだったかな?』って考えたら、今の子供たちも僕が小さい時と同じだと思いました。当時の自分は同じリズムを繰り返すメロディーとかをよく口ずさんでいたな、という記憶があったんです」

 映画の主題歌「ゲラゲラポー走曲」も手がけた。今回の楽曲は、これまで手がけた「キング―」と「―5」の5曲を1曲にまとめたもの。エンドロールではスクリーンにキャラクターたちが同曲に合わせて踊る映像が流れる予定という。

 「妖怪―」関連の楽曲をすべて詰め込んだぜいたくな1曲となっているが、同曲のイメージは「映画が終わったあとにたくさんの人でワイワイと踊れるような楽曲」だという。初めは出来上がった楽曲について“半信半疑”だったが、「この曲を作る頃には妖怪ウォッチがヒットしていたし、『何をやっても大丈夫かな』と思っていました」

 同曲へのこだわりについては「(下半身の動きがない分)テンポは速まっていますが、座りながらでも踊りやすいテンポになっているはず。音楽的にはテンポや音程が異なる曲同士を、いかにスムーズにつないでいくのかに注意しました」と自信を見せる。

 自身も映画の公開を楽しみにしている一人だ。「映画を見終わった後に5曲分が詰まった曲が流れたら相当楽しんでもらえると思うし、楽しんでもらえるような曲になっていると思う」とニッコリ。

 さらに「僕も映画館に行ってみたいと思っているんです。『みんなどうやって踊るんだろう』って興味がある」と、今から公開が待ちきれない様子。すべての根底にあるのは「子供たちに楽しんでもらいたい」という思い。今回の映画でも本編だけでなく、エンディングまで楽しんでもらいたいと考えている。「映画では(子供たちが最初に楽しんだ)ゲームの世界がスクリーンで再現されるはずです。それを楽しんでいただいて、最後は“ゲラゲラポー”で一緒に踊っちゃいましょう!」と呼びかけた。

 ◆菊谷 知樹(きくや・ともき)1968年2月21日、東京都三鷹市生まれ。46歳。92年にバンド「ムスタングA.K.A」でデビュー。94年に解散後はギタリストとして活動し、05年から作曲・編曲家として活動を開始。マンドリン、ウクレレ、三線、鉄琴など数々の楽器演奏もこなす。趣味は釣り。血液型B。

 ◆妖怪ウォッチ 2012年12月に「月刊コロコロコミック」(小学館刊)で連載スタート。13年7月にニンテンドー3DSのゲームを発売すると、累計100万本以上を売り上げブレーク。今年1月からはテレビ東京系でアニメも放送中。関連グッズ、アニメの主題歌も軒並みヒットし、「妖怪ウォッチ」は「2014ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされた。

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