「アタシ、もうアベしちゃおうかな」−。安倍晋三前首相=写真=の辞任劇を受けて、こんな「流行語」がある、と朝日新聞紙面で紹介したコラムニストが、インターネット上で総攻撃を受ける騒ぎになっている。
ヤリ玉にあがったのは、安倍前首相が入院先の会見で突然の辞任をわびた翌日、9月25日付朝刊の≪おわびで幕≫とした見出しの記事の中で、コラムニストの石原壮一郎氏が寄せた次のコメント部分。
≪「アタシ、もうアベしちゃおうかな」という言葉があちこちで聞こえる。仕事も責任も放りなげてしまいたい心情の吐露だ。そんな大人げない流行語を首相が作ってしまったのがカナシイ≫
『大人養成講座』や『大人力検定』などの著書で人気がある石原氏だけに、影響力は大きかった。記事が出た当日から、巨大掲示板「2ちゃんねる」や石原氏のブログで、ほぼ同時に批判コメントが殺到した。
≪そんな流行語、聞いたことがない。どこのだれが言ったのか、ソースを示してほしい≫という指摘から、≪あさひ−る【アサヒる】捏造すること。事実でないことを事実のようにこしらえていうこと≫など、安倍政権に批判的だった朝日への揶揄をからめたものまで、2万件近い書き込みの集中砲火を浴びた。
当の石原氏を直撃すると「『アベする』という言葉は、実際に私の知り合いの男性、女性が使っているのをあちこちで聞きました。マジメに働いている人が、安倍さんの突然の辞任を見て、あんな風に放り出せたら−という意味で使っていたようです。ただ、今思えば、辞任から病院での会見までのわずかな期間に使われただけで、もはや突然の辞任劇への怒りすら忘れ去られようとしていますね」と、移り変わりの激しい政局に困惑した様子。
自身のブログが“炎上”したことについては「ほっぽらかしていたブログに、たくさんの労力を使い、にぎやかにしていただいて…」と大人力の回答。ついでに、船出したばかりの福田新首相についてコメントを求めると−。
「何をやりたいか分からない。わざと旗幟を鮮明にせず『大人のあいまい力』を悪用している感じがする」。イメージがつかめない人物だけに『フクダる』という言葉は当分生まれそうもない。
ZAKZAK 2007/10/04