10月17日(日) >>
誤審、黒星スタート…落合監督、それでも悠然
「たかが1敗。どうってことない」
 落合博満監督(50)率いるセ・リーグの覇者中日と伊東勤監督(42)率いるパ・リーグの覇者西武で今年のプロ野球日本一を決める日本シリーズは16日、ナゴヤドームで始まったが、いきなり波乱が起きた。5回裏1死一塁、谷繁元信捕手(33)の捕手前の打球の判定をめぐり、両軍監督の抗議に加え、審判団の不手際も加わり、シリーズ史上2位の49分間も中断するトラブルとなった。試合は中日が0−2で完封負け。黒星スタートとなった。

5回裏1死一塁、谷繁の打球を巡る判定で激しく抗議する伊東監督(右)と悠然と構える中日・落合監督(左)=ナゴヤドームで(森田達也撮影)

苦笑い

 苦笑いを浮かべた試合後の落合監督の表情が、大舞台での戦いの難しさを端的に表していた。

 「ひとことで言うなら、みんな動きが硬かったな。審判も硬かった。ま、これで慣れるだろ。1戦、2戦とやってくうちに慣れていくもんだ」

 普段通りにやれ。いつもの野球をやれば勝てる−。セ・リーグを制した直後から落合監督はことあるごとに報道陣にも、そして選手自身にも言い聞かせてきた。

難しさ

 裏を返せば、それだけいつもやってる野球を日本シリーズという大一番で披露するのは難しいということなのだ。

 頼みの川上が警戒していた和田に技ありの一発を打たれ、英智のまさかのエラーで2点を取られた。西武に傾いた流れを変える局面は5回裏に訪れた。

 1死一塁から谷繁の当たりはホームベースの先端付近に落ちて、止まった。橘高球審は捕手・野田の谷繁へのタッチを認めてアウトの宣告。

 二塁ベースカバーに入った中島は、野田からの送球を受け、一塁走者のリナレスにタッチせずに一塁へ投げてしまった。二塁の杉永塁審も、いったんはリナレスにアウトを宣告してしまった。

 ベンチに帰りかけたリナレスを戻してまで、落合監督が橘高球審に猛抗議を開始した。結局、審判は落合監督の抗議を認めて、49分間の中断の末、2死二塁から試合を再開した。

引かないよ

 「あの抗議で流れが変わるとか、変わらないとか、野球はそんなもんじゃない。ただ、(球審の)橘高は既にアウトのコールをした。だから谷繁は走らなかった。一塁走者へのタッチは必要。うちは絶対に引かないよ。あとはあっち(西武)にどう説明するかだと言った」と、落合監督は落ち着いた口調で語った。

 2死二塁というチャンスも、結局はベテランの力のこもった投球に屈した。

 「まあ、たかが1敗だ。どうってことない。久々にプレッシャーのかかる試合をしたってことだ」。最後は中日が4つ勝ってシリーズを終える。初戦を落としたくらいで、落合監督の自信がぐらつくことはない。 (青山卓司)



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