戦艦武蔵:「ほぼ間違いない」大和ミュージアム館長が指摘

毎日新聞 2015年03月04日 00時14分(最終更新 03月04日 09時15分)

シブヤン海で米機の攻撃を受ける戦艦武蔵
シブヤン海で米機の攻撃を受ける戦艦武蔵

 戦艦武蔵がフィリピンの海底で見つかったと米マイクロソフトの共同創業者のポール・アレン氏がツイッターで明らかにしたことを受け、広島県呉市にある「呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)」の戸高一成(とだか・かずしげ)館長(66)は「写真は武蔵の艦首周辺とみられ、菊の紋章がはめられていた場所と、その周辺のロープを通す穴やくぼみが、大和型戦艦の武蔵の特徴と一致する」と興奮気味に語った。そして「発見された海域や深度からいって、ほぼ間違いなく武蔵だ。今後、他の画像で沈んだ当時の様子が明らかになる可能性がある」と指摘。また「戦後70年に発見されたことにドラマを感じる。多くの人が過去の戦争で何があったのかを考え直すきっかけになれば」と話した。【吉村周平】

 ◇当時の東京駅正面とほぼ同じ長さ

 海軍OBらでつくる公益財団法人「水交会」(東京都渋谷区)によると、これまで戦艦武蔵の船体は確認されたことがなかった。海軍の記録「戦闘詳報」によると、武蔵の沈没場所は北緯13度7分、東経122度32分。潮の影響で、船体が現在沈んでいる場所はこの位置から外れている可能性があるという。

 戦艦武蔵は1938年3月29日起工、1942年8月5日完工。三菱重工長崎造船所が建造した。全長263メートルと、当時の東京駅正面とほぼ同じ長さで、戦艦では世界最大だった。1944年10月24日、フィリピンのレイテ島攻撃に向かう最中、同国のシブヤン海で米軍の艦載機の一方的攻撃を受け、艦齢わずか800日余りで沈没した。乗員約2400人のうち、1000人以上が死亡した。【中村美奈子/デジタル報道センター】

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