橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会の大阪市議団は7日午後、親の愛情不足が発達障害の要因とし、その「予防」をめざすとした条例案について、市議会への提案方針を撤回した。市議団が示した条例案の原案に対し、専門家や保護者団体から「科学的に誤り」「偏見を助長する」と批判が相次いでいた。
条例案は「家庭教育支援条例案」。「親になるための学び」が必要との立場から、家庭教育の支援や伝統的子育ての推進を主張。「発達障害、虐待等の予防・防止」を掲げて、「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因」と明記している。
条例案を推進していた維新の辻淳子市議によると、条例案の文案は4月下旬、「親学」を提唱する高橋史朗・明星大教授から資料として提供を受けたという。辻氏らは1日、条例案の原案として提示。市議団の美延映夫幹事長は報道陣に「5月議会への提出を目指す」と表明していた。
これに対し、発達障害の子どもの保護者らで作る大阪府内の13団体は7日、発達障害者支援法を踏まえて「発達障害は先天的脳機能障害。条例案の記述は学術的根拠がなく、偏見を増幅する」として、提出中止を求める要望書を維新側に提出。保護者らは記者会見で「親を追いつめる発想はやめて欲しい」と訴えた。