高卒右腕に、異例の春季キャンプ中のデビュー登板指令≠ェ下った。しかも、相手は天敵西武。黄金ルーキー寺原にかける思いが、短い言葉に凝縮されていた。「寺原? まず見てみないと何とも言えないが、いけると思ったときはどんどん使います。西武との練習試合? やることは構わないし、若手を使ってみたい気持ちもある」。 あえて、同一リーグに登板させることに大きな意味がある。昨年もドラフト2位入団した山田の起用を一度は考えたが、オープン戦までの登板間隔や西武に投球フォームのクセを盗まれることなどを考え、回避した。だが、指揮官は「寺原、杉内が入ってきたことで投手陣に危機感が生まれるだろう。投手王国をつくりたいんだ」とキッパリ。黄金ルーキー寺原の指名には現有戦力の投手陣の奮起を促す狙いがある。 当然、寺原自身への期待も大きい。「投手陣の(1軍)枠は12あるが、そのうち2、3人は新しい戦力が出てくるだろう」と王監督。大物ルーキーだけに、堂々とライバル球団に存在を示し、実戦を経験することでより大きく育てようとするねらいもある。 この日、王監督は盛岡市内のホテルでパーティーに出席した。今年初仕事だったが、その席での話題も寺原が独占。「これまで3度(ドラフトの抽選で)空クジ(外れクジ)だった私が、4度目にして初めてのあたりクジを引きました。充実した投手陣を預からせてもらい、責任も感じている」と表情を引き締めなおした。 「昨年は(西武、ロッテと)2球団に負け越した。そういうことで優勝なんてできるはずがない」と王監督。もし、寺原の西武戦登板が成功すれば、天敵攻略の大きなきっかけになる。打倒西武こそ、王座奪回への第1歩。甲子園最速、W杯出場とアマ球界の歴史を塗り替えてきた豪腕が、早くもV奪還のキーマンに指名された。【松井周治】
寺原2月の練習試合でデビュー寺原はすでに始動ドームに賞金1800万の看板登場田之上を開幕投手に指名井口、盗塁王記念パーティー飯島、養父の1軍帯同を明言 ダイエーバックナンバー