本当に「性善説の限界」だったのか 拡散された回転ずしでの迷惑行為

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聞き手 編集委員・塩倉裕
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 回転ずし店で迷惑行為をする動画が拡散された事件。報道されると、性善説に基づくビジネスモデルは限界だとする論評がネットなどで多く語られた。「性善説では無理」という気分。この言い方に込められた気分は何だろう。またそもそも、これは性善説の問題なのか。中国思想史に詳しい佐々木愛さん(島根大学教授)に語ってもらった。

     ◇

「人は悪いことをしないもの」?

 回転ずし店で迷惑行為をしている動画が拡散された事件のあと、性善説に基づくビジネスモデルは限界だとする論評が広まっていると聞いたときには、疑問を感じました。

 本当に性善説という言葉はそんなふうに使われているのだろうかと思ったのです。ネットで検索をしてみて、初めてその現実を認識しました。「人は悪いことはしないものだ」。性善説をそういう考え方とみなす解釈が、どうやら広がっていたようです。

 しかし、現実として世の中には犯罪があふれています。もし人が悪いことをしないものならば、ビジネスモデルとしてのカギ屋さんはみんな失業してしまうでしょう。

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