JR渋谷駅:「新南口」改札閉鎖へ 埼京線ホーム北側移動

毎日新聞 2015年09月05日 11時25分(最終更新 09月05日 12時05分)

埼京線・湘南新宿ラインのホームが移設される旧東急東横線渋谷駅跡地=東京都渋谷区で9月2日、本多健撮影
埼京線・湘南新宿ラインのホームが移設される旧東急東横線渋谷駅跡地=東京都渋谷区で9月2日、本多健撮影
駅改良工事に伴い、閉鎖の検討が始まっているJR渋谷駅新南口=東京都渋谷区で9月2日午前11時7分、本多健撮影
駅改良工事に伴い、閉鎖の検討が始まっているJR渋谷駅新南口=東京都渋谷区で9月2日午前11時7分、本多健撮影

 JR東日本は渋谷駅改良工事に伴い、南端の改札「新南口」を閉鎖する方向で東京都渋谷区と調整している。新南口は埼京線ホーム南端付近にあるが、このホームを北に約350メートル移設するため。駅の再開発は拡張が普通で、改札が消える事態は珍しいという。改良工事の起工式は7日に行われる。

 渋谷駅は南北に長いすり鉢状地形の底にあり敷地が狭い。これまで東京メトロ銀座線ホームが、隣り合う山手線と東急東横線の上にあるなど、各線のホームを立体パズルのように組み合わせてきた。

 新参の埼京線ホームは1996年3月、山手線と東横線の間にスペースがなく苦肉の策で山手線ホーム南の貨物駅跡地に設置され、2001年4月に新南口も誕生した。

 この結果、新南口から山手線ホーム北端付近にある「ハチ公口」まではホーム二つ分、歩いて10分近くもかかる状態になった。埼京線や同じホームに止まる湘南新宿ラインの利用客には、前後の新宿駅や恵比寿駅で山手線に乗り換えて便利な改札を目指す人もいる。

 状況は渋谷駅と周辺の再開発で変わる。東横線ホームが13年3月に地下化された。これによって銀座線ホームを東側に移し、東横線ホーム跡地に埼京線ホームを移設することになり、JRにとって20年来の課題だった利便性向上が実現する。

 一方で現在の埼京線ホームを通路として残すのは難しいという。通勤で新南口を利用する東京都北区、団体職員、曽野聡さん(48)は「飲食店も結構あり、埼京線を使う私には便利で愛着もある。ちょっと残念」。近隣の飲食店も客足が遠のくのではと不安がる。

 閉鎖は埼京線ホーム移設が完了する20年春以降の予定。渋谷区は国道246号のすぐ南で線路を東西にまたぐ自由通路を造り、JRに改札を設けてもらう構想を抱く。区の担当者は「周辺地域全体の利便性は確保される」と話す。【本多健】

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