【8月31日 People’s Daily】和田市(ホータン、Hetian)と若羌県(チャルクリク、Ruoqiang)を結ぶ鉄道(以下、和若鉄道)が6月16日に開通した。この鉄道の開通により、世界初の砂漠鉄道環状線である全長2712キロのタクラマカン砂漠鉄道環状線の最後の「弧」を完成させ、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)ホータン地区の洛浦県(ロプ、Luopu)、策勒県(チラ、Cele)、于田県(ケリヤ、Yutian)、民豊県(ニヤ、Mingfeng)などの地域と、バインゴリン・モンゴル自治州(Bayingol Mongolian Autonomous Prefecture)且末県(チャルチャン、Qiemo)など複数の県における鉄道不通の歴史に終止符が打たれた。

 西は中国新疆のホータン地区ホータン市から始まり、東はバインゴリンのチャルクリク県まで、全長825キロの和若鉄道は、世界で2番目に大きい流動性砂漠である「死の海」と呼ばれるタクラマカン砂漠の南端に位置し、総延長の65%を占める534キロの区間が砂風エリアにある典型的な砂漠鉄道となっている。

 砂漠での鉄道建設には、新たな技術・理念による支えが不可欠だ。2018年12月の着工以来、中国国家鉄道集団有限公司(China Railway、国鉄グループ)は建設に参加する会社を組織し、砂漠の地質学的特性に従い、沿線工事やコンクリートのメンテナンスの深刻な水不足の実情を踏まえ、434基の橋脚で組み立てるプレハブ式工法を採用した。あらかじめ工場でプレハブの加工を完成させ、現地で組み立てるため、水不足による工期への影響を効果的に回避した。一部の区間では、砂風が強く、砂丘は絶えず動き続け、線路は埋まりやすくなっていた。このような問題に直面した際には、道の代わりに橋を造る方法で、砂風を橋の下から通すようにした。総延長49.7キロに達する砂風通過橋を5基建設することにより、砂風による線路侵害の脅威を大幅に低減させた。「砂漠の鉄道建設には、砂対策が先行する」という建設コンセプトに基づき、砂風防護プロジェクトの建設を同時に推進した。「砂風防護プロジェクトと鉄道建設を同時に進めるのは、中国国内では初めてのことだ」と、新疆和若鉄道の王尽忠(Wang Jinzhong)会長は述べた。

 和若鉄道の開通により、新疆と中国の他の地域との経済的な結びつきがより緊密になっている。便利な物流ルートとして、和若鉄道では8本の貨物列車が運行予定で、沿線都市の特産品を中国大陸に直接輸送できるようになる。

 南疆(新疆ウイグル自治区南部)のタリム盆地環状線鉄道の形成に伴い、「列車に乗っての南疆一周」が可能になった。南疆地域は観光資源が豊富、民俗風情が濃厚で、和若鉄道沿線は南疆のあらゆる民族の数千万人をカバーしており、沿線観光業のポテンシャルをさらに引き出すことが見込まれる。このほか、和若鉄道が新たに建設した20か所の旅客ターミナルのうち、9か所は「一駅一景」だ。「シルクロード古国」をテーマにしたケリヤ駅にしても、「オアシス衛士」をテーマにしたチャルチャン駅にしても、「国境の守り」をテーマとした金山駅など、いずれもユニークなスタイルで、風物詩となっている。現在、南疆巡りの観光ルートの開発を計画している企業があり、「塔巡りパノラマツアー」「砂漠探検ツアー」「南疆風情ツアー」などのテーマ別観光ルートを打ち出している。他の地域を始発点とする旅行特別列車の一部も、これまで鉄道不通だった地域まで通るようになる。

 2021年末までに、新疆鉄道の運営距離は8151キロに達し、かつての「道路網の末端」は徐々に「地域のハブ」になりつつある。(c)People’s Daily/AFPBB News