旧国鉄北陸線の疋田駅ホーム跡に設置された駅名標=10月17日、福井県敦賀市疋田

 福井県敦賀市の疋田区は区内に残る旧国鉄北陸線(柳ケ瀬線)の疋田駅ホーム跡に、当時を再現した駅名標を設置した。駅の歴史の説明書きも添え、訪れた鉄道ファンらにPRしている。

 疋田駅は、1882(明治15)年に日本海側で最初に開通した敦賀―長浜間の駅として開業。蒸気機関車(SL)が走り、通勤やコメなどの物資の積み込み駅として当時は活気があった。1957年の北陸線の路線変更に伴い柳ケ瀬線として利用されたが、64年に廃線となった。

 同駅跡地は現在の疋田第2会館の敷地内にあり、駅ホームの石積みの一部が現存している。近年、明治期の鉄道遺産を巡る見学会などで訪れる人が増えているため、区は案内板を検討。区内の企業からの寄付金で設置した。

 駅名標は高さ約2メートル、幅1・65メートル。区民が所有していた廃線前の駅ホームの写真を基に、駅名などの表記を忠実に再現した。裏面に同駅や柳ケ瀬線の歴史を記した。

 前川豊区長(69)は「昔SLが区内を走っていたことを知る区民も少なくなった。鉄道ファンらに見てもらうとともに、鉄道の歴史を後世に残すため設置した」と話している。

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