拍手で見送られ、すすり泣きながら退場する卒業生=珠洲実高で
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珠洲実業高 輪島実業高
涙と歌声…感謝の気持ち込め
県教委の高校再編により、閉校となる珠洲実業高校(珠洲市)と輪島実業高校(輪島市)で六日、最後の卒業式と閉校式があり、それぞれ長年の歴史に幕を下ろした。両校では、卒業生の新たな門出を祝いながらも、寂しさに包まれた。(近江士郎、宮畑譲)
珠洲実高の卒業式では、崎出喜作校長が六十九人に卒業証書を手渡し「四十七年間の本校の歴史を有終の美で飾ってくれた」と式辞。
卒業生を代表し、建築科の用平ひかるさんが涙声で「珠洲実業高校、ありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。
引き続き閉校式があり、橋本武蔵生徒会長が「母校と呼べる高校はなくなりますが、心に刻まれた思い出は色あせることなく、いつまでも残っていきます」と惜別の辞。中西吉明県教育長に校旗が返納された。
地元で酒販店を営む九回生の橋元信勝さん(54)は「まだ閉校が信じられません。生徒が登下校しなくなってみて、初めて実感する気がします」と話した。
輪島実高の卒業式では左古隆校長が七十人の卒業生に「『輪実魂』は同窓生によって引き継がれると確信している」と言葉を送った。卒業生代表の大角祥代さんが「最後の卒業生として誇りを持って生きていきます」と声を詰まらせながら別れの言葉を述べた。
午後の閉校式には、卒業生、同窓生、元教諭ら計約六百人が参加した。左古校長が式辞を述べ、県教委に校旗を返納。卒業生を代表して宮本大輝君(18)が「自立、創造、信頼の校訓を胸に、人生を歩んでいきます」とあいさつした。
同校で計二十一年間教壇に立った元教諭の浦亨一(こういち)さん(62)は「寂しいけど、たくさんの教え子に会えて懐かしかった」と笑顔。最後の卒業生となった木下昌美さん(18)は「最高の学校でした」と話した。最後に参加者が校歌を斉唱し、四十年の歴史に幕が下りた。
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