Financial Times

マイナス金利の世界に踏み込むデンマーク

2012.08.27(月)  Financial Times

(2012年8月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

金融危機以降に取られた数々の目を見張る政策の中で、最も異例なものの1つは、ほとんど気付かれないまま実行された。デンマークが導入したマイナスの政策金利である。

 ユーロとの厳格なペッグ制を維持するため、デンマーク国立銀行(中央銀行)は先月、銀行の主な預金金利――譲渡性預金(CD)金利――をマイナス0.2%に引き下げた。

 デンマーク国立銀行は、ほとんど選択の余地がないと感じていた。投資家がユーロ圏外の逃避先、つまり、ユーロに関する為替リスクがなく、単一通貨の崩壊に対する安上がりな保護を提供する場所を求めてデンマークに殺到していたからだ。

世界が注視するデンマークの政策、ECBなどが追随する可能性も

 マイナス金利への動きは、世界中の中央銀行に注意深く監視されている。「我々がこれほど人気を集めたことはなかった」と、あるデンマークの政策立案者は笑う。

 2009年から2010年にかけてスウェーデンが実施した短期間のマイナス金利を除けば、マイナスの政策金利は目新しい措置だ。だが、ほかにも近い将来、追随するところが出てくるかもしれない。実際、欧州中央銀行(ECB)は最近、中銀預金金利をゼロに引き下げており、利率がマイナスになる可能性があると警告している。

 英国や他の欧州諸国の政策立案者は、現金を貯め込んでいる銀行に貸し出しの再開を迫る方法として、この考え方に興味を示している。

 「デンマークの中央銀行は、マイナス金利を実施した時に何か起きるのかという小さな実験を手がける初のケースだ」。世界最大級の債券投資会社ピムコの欧州外国為替責任者、トーマス・クレッシン氏はこう言う。

 「デンマーククローネが人気を集めているのは、ユーロが不人気だからだ。世界中の投資家は、安全な投資先を探しており、自分の資金が絶対になくならないという安心感を得るためならマイナス金利も喜んで受け入れる」

 これまでのところ、今回の動きの経済的影響はほとんど…
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