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韓国はポルトガルの植民地だった!?

【新刊】李吉相(イ・ギルサン)著『世界の教科書・韓国を語る』(青い森)

 「4-5世紀に日本人は韓半島(朝鮮半島)南海岸に小さな植民地を所有していた」「1640年代に韓国は中国・清王朝の属国になった」

 米国の「世界史」の教科書に堂々と記載されている韓国の歴史だ。われわれは「教科書の歪曲(わいきょく)」といえばすぐさま日本を思い浮かべるが、これは日本だけの問題ではない。あらゆる大陸と文化圏で、多くの国家が韓国について誤った情報を教科書で学んでいる。本書は、韓国学中央研究院の李吉相(イ・ギルサン)教授が2003年から40カ国余りの教科書500種類以上を一つ一つ分析し、見つけ出した歪曲と誤りの事例を取り上げている。

 それには首を傾げるほどにとんでもない内容が多い。イタリアの『1900年代の世界史』は、「韓国はヤミ市場を通じ材料と技術を導入しさえすれば、核爆弾を作ることができる国」と紹介している。アルゼンチンの『一般地理』では、韓国がマラリア感染地域に分類されており、パラグアイの『歴史と地理』では、韓国をかつてポルトガルの植民地だったと表示している。

 米国の教科書のあちらこちらには、オリエンタリズムと日本の植民史観が反映されている。プレンティスホール社が2004年に出版した『世界文化』には、「西暦400年ごろ、(日本は)幾つかの氏族が連合して日本の大半を統一し、韓国南部の地域を統治するまでに至った」という、あきれるような文章がある。韓半島南部を植民地にしていたとする「任那日本府説」が、米国の教科書では健在だというわけだ。

 カナダやオーストラリアの教科書もまた、日本の植民史観を盛り込んでいる。日本の教科書の中には、「高句麗や渤海といった古代国家を現在どの国の歴史と見なすかは、複雑な問題だ」という、中国の東北工程(高句麗・渤海の歴史を中国の歴史に編入しようとする企図)を後押しするような内容もある。

 なぜこうしたことが起こるのか。李教授は「大多数の教科書の執筆に参加するアジア学者が、日本史と中国史を中心に研究活動を展開してきたからだ」と語った。不確実で充実性に欠ける資料によって生じる「誤り」というわけだ。より大きな問題は、日本のように意図的に「歪曲」する行為だ。日本は歪曲された歴史を世界に知らせることにたゆみなく投資し、世界各国の教科書に大きな影響を及ぼした。

 ならば、どのように解決すべきか。こうした問題が持ち上がるたびに「無能な政府」のせいにされるが、李教授は「民間レベルの学術的な努力と文化交流が解決法」だと主張する。政府の役割は、そうした努力を後押しする支援と粘り強い国家広報、というのが著者の考えだ。

 多くの国家が間違いだらけの教科書を量産している、という事実は同書を読みながら決して気分のいいものではないが、さまざまな事例と共に誤りを修正するための著者の足跡がスピード感ある展開を見せ、興味深い。ページをめくる度に、これまで知らなかった韓国史の知識まで学ぶことができる。「世界トップ10に入る経済大国」のことを知ってもらえないと人のせいにする前に、まずは自らを振り返ってみよう。われわれは果たして、われわれの歴史をどれくらい知っているだろうか。

ホ・ユンヒ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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