【2022年サッカーW杯】 モロッコ、アフリカ勢初のベスト4入り ポルトガルに1-0で勝利
ワールドカップ(W杯)カタール大会は10日(日本時間11日)、準々決勝があり、モロッコが1-0でポルトガルを破って、アフリカの国として初めて準決勝へと進出した。イスラム教徒が国民の大多数を占めるアラブ国家が、サッカーの国際主要大会で準決勝に進むのも初めてとなる。
世界的スター選手のクリスティアーノ・ロナウド(37)を擁するポルトガルは、ベスト8で大会を去ることになった。
モロッコは前半42分、ポルトガルのゴール前に上がったクロスに、ストライカーのユセフ・エン=ネシリが誰よりも高くジャンプしてヘディング。同時に飛んだGKディオゴ・コスタに触らせることなく、ボールをグラウンドにバウンドさせてゴールへと送り込み、決勝点を挙げた。アル・トゥママ・スタジアムは、大興奮状態となった。
試合が終了し、モロッコのW杯での大躍進が決まると、観客席の大半を占めていた同国のサポーターたちは歓喜した。
ポルトガルのロナウドは後半6分から途中出場。国際試合で男子歴代最多タイとなる196試合目の出場を果たした。ただ、チームを同点へと導くことはできなかった。
モロッコは14日(日本時間15日)の準決勝で、イギリスを破ったフランスと対戦する。
堅い守りでゴール許さず
モロッコはこの試合、カウンター狙いのプレーを続けた。
ポルトガルは失点のわずか数分後、主将のブルーノ・フェルナンデスが見事な個人技からシュートを放ったが、クロスバーを直撃。同点にすることはできなかった。
後半もジョアン・フェリックスの強烈なシュートが枠をとらえたが、モロッコのGKヤシン・ブヌが見事にはじいて得点を許さなかった。
モロッコは後半アディショナルタイムに、ストライカーのワリード・シェディラが立て続けに2枚のイエローカードを受けて退場となった。だが、ポルトガルは人数的に有利なこの状況を生かすことができなかった。
モロッコは今大会、ここまでの5試合で1点しか失っていない。ワリド・レグラギ監督が代表チームを率いるようになってから、これで8試合を戦ったことになるが、うち7試合は無失点に抑えている。
この日も鉄壁の守りを見せ、ポルトガルを抑え込んだ。
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歴史をつくったモロッコ代表
モロッコは今大会、負け知らずで初のベスト8入りを果たした。アフリカ勢の準々決勝進出は、カメルーン(1990年)、セネガル(2002年)、ガーナ(2010年)に続いて4チーム目だった。
そしてこの日の勝利で、アフリカの国として初めてベスト4に入った。
モロッコはまた、イスラム教徒が国民の大多数を占めるアラブ国家としても初めて、サッカーの国際主要大会で準決勝進出を果たした。
この試合でポルトガル選手がボールに触れるたび口笛を吹き鳴らしていたモロッコのサポーターたちは、終了のホイッスルが鳴りベンチの控え選手たちがピッチに駆け出すと、耳をつんざくような歓声を上げた。
ファンたちは「行け、行け」と合唱。「モロッコよ永遠に」と声を張り上げる人もいた。
レグラギ監督は、選手たちから胴上げを受けると、ゴール裏のサポーターたちに向かって両手を挙げながら駆け出した。
この試合の最優秀選手となったGKのブヌは、「私たちがここに来たのは、意識を変えて劣等感をなくすためだ。モロッコは、世界のどんな相手とも戦う用意がある。準決勝突破でも何でもできる」、「私たちはこれまでの意識を変えた。次の世代は、モロッコ選手が奇跡を起こせることを知っている」と話した。
BBCニュースのシャイマ・ハリル記者は、モロッコの多くのファンたちがこの日の勝利を受けて、「誇り」「信念」「自信」の3つの言葉を口にしていると報告。
ファンの1人からは、「巨人たちと真っ向勝負できるという自信を得た瞬間だ」という感想を聞いたとした。