串本町 民間ロケット打ち上げ ことし夏ごろに 延期は3回目

串本町の民間ロケットの発射場を運営する企業は、初号機の打ち上げについて、2月末としていた予定をことし夏ごろに延期することを明らかにしました。
新型コロナウイルスなどの影響で海外からのロケット部品を調達できなかったということで、打ち上げの延期は3回目になります。

国内初の民間ロケット発射場が整備されている串本町で、1月31日、県や地元の自治体、それに企業などでつくる協議会が開かれました。
協議会では、発射場を運営する「スペースワン」の幹部が出席し、2月末に予定していた初号機の打ち上げについて、ことしの夏ごろに延期すると報告がありました。
理由については、新型コロナウイルスやウクライナ情勢を受けた物流への影響で、海外からロケット部品を調達できないためなどとしています。
また、今後の予定は、3月中の部品の調達状況を見たうえで判断し、4月ごろに改めて報告するということです。
スペースワンは、初号機の打ち上げを、去年(令和4年)3月としていましたが、その後、予定の延期が繰り返され、今回で3回目になります。
スペースワンの阿部耕三 取締役は、「地元の方々には申し訳ない思いです。また延期とならないよう、しっかり時期を決めていきたい」と話していました。
協議会の副会長を務める串本町の田嶋勝正 町長は、「ロケットは和歌山県を大きく変える産業を生み出すもので、大きな期待をしている。本当に打ち上がるのか心配だという声もあるが、丁寧に説明していきたい」と話していました。

【これまでの打ち上げに向けた動き】
日本初となる民間ロケットの発射場をめぐっては、5年前の2018年から県と町が誘致活動を開始しました。
宇宙事業を行う「スペースワン」が、国内外の複数の候補地から、選定を進めていたのです。
町は、古座分庁舎の中に「スペースワン」との窓口になる「推進室」を設置。
用地買収のために地権者との交渉や測量などが行われました。
そして、発射場の建設が串本町に正式に決まったのは、その1年後。
町の荒船海岸周辺の敷地に建設されることになりました。
これを受けて、地元では見学場の整備の動きも。
串本町にある海水浴場と、隣の那智勝浦町にある廃校となった小学校の校舎に見学場を整備し、巨大モニターの設置も決まりました。
また、JRの駅などから見学場に向かう専用のシャトルバスを運行し、交通渋滞の緩和につなげることにしました。
当初、打ち上げの予定は去年の3月とされていましたが、新型コロナウイルスの影響で、部品が滞っているなどとして最初の打ち上げは、去年の12月に延期。
さらに、去年10月に2回目の延期が県や地元自治体に伝えられました。
理由については、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻などの影響で、部品の調達に遅れが出ていると説明していました。
そして、2月末の予定も1月31日になり、3回目となる延期が発表されました。

【串本町民“残念”】
民間ロケットの発射の延期が発表されたことについて、串本町では残念がる声があがっていました。
町内に住む70代の女性は、「大阪にいる友達のお孫さんが楽しみにしていて、来月来る予定だったので残念ですみなさん楽しみにしているので、早く打ち上げてほしいです」と話していました。
また、50代の男性は、「ロケットが発射することになれば、串本町にもお客さんがたくさん来るのではないかとすごく期待していたのでショックです」と話していました。
和菓子店に勤める40代の男性は、「ロケットの発射にはすごく期待しています。お店でも、打ち上げに合わせて「ロケットまんじゅう」を売り出す予定で、延期は残念です」と話していました。