イチロー、王さん超えに感慨!日米通算5863塁打「王監督の記録はどの記録でも特別なもの」

2017年9月8日6時0分  スポーツ報知
  • 06年第1回WBCで優勝を果たし、喜ぶ王監督(左)とイチロー
  • 5回、中前安打を放ったイチロー(ロイター)

 ◆マーリンズ1―8ナショナルズ(6日・マイアミ)

 マーリンズのイチロー外野手(43)がまた一つ、尊敬する王貞治氏(ソフトバンク球団会長)の通算記録を超えた。6日(日本時間7日)、本拠マイアミのマーリンズ・パークで行われたナショナルズ戦の5回に代打で中前安打を放ち、日米通算で、王貞治のプロ野球記録5862塁打を上回る5863塁打(日本1889、米国3974)をマーク。2年前の通算得点に次ぐ王超えに感慨に浸っていた。

 普段は、自らの日米通算記録にあまり関心を示さないイチローだが、今日ばかりは違った。2006年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表で、世界制覇に向け、ともに戦った王監督の数字を上回った時は別だ。

 4日に代打で安打を放ち、日米通算5862塁打で王さんのプロ野球記録に並んでいた。迎えたこの日、5回に代打で中前打し、ついに5863塁打(日本1889、米国3974)に到達。尊敬する王さんを抜いた。

 「監督の記録が特別なのは、監督が僕にとって特別な人であるから。抽象的ですが、おかしなことはできないと思いますね。王監督の記録とか王監督と何かを比べてもらえることで、そういう感情が僕の中で生まれる」

 節目の安打は節目の打席で飛び出した。この日でシーズンの代打出場試合数がメジャー最多タイの94になった。通算46回目の対戦となった左腕ゴンザレスは緩急、両サイドを駆使した配球で揺さぶってきた。3球連続ボールの後2球連続見逃しストライクで1球も振らずにフルカウントになったが、最後の一振りで速球を捉え、メジャーのシーズン最多記録にあと3と迫る今季25本目の代打安打を放った。何度もしのぎを削った相手との対戦だけに、「頭を使うから面白い。ただ投げて、ただ振って、では全然ない」と駆け引きの余韻に浸った。

 プロ野球記録で王さんを超えたのは、これで2度目だ。2年前の4月に1968得点を記録した際には「他の人の記録に全然興味がないですけど、王監督の記録はどの記録でも特別なもの。ただ光栄です」と話したが、今回も「王監督の記録のみが(自分にとって)特別と言えるかもしれない」と神妙な顔で言った。

 常に冷静な一方で、野球への情熱は43歳になった今でも変わらない。日々の生活から自らを律し、準備には最善を尽くす。日本球界の顔であり続ける「王貞治」の記録と自分の数字が交錯するたび、その姿勢の大切さを改めて思うという。

 8月25~27日にメジャー全体でニックネームを背中に書き、右肩に感謝の人を書くイベントが行われたが、イチローは初日が自らを見いだしてくれたオリックスの故仰木彬監督。2日目は王さんを書き込んだのも尊敬の念を込めてのことだった。

 先発出場は8月9日が最後。その後の出場は20試合続けて代打という日々を送りながら、また一つイチローが歴史に名前を刻んだ。

 ■王監督と世界一

 ◆06年WBCでのイチロー マリナーズ6年目を迎えたイチローは、日本代表の主軸として参加。「(王監督に)恥をかかすことは出来ない」と臨んだが、2次リーグで韓国に敗れ準決勝進出が厳しくなった際に「最も屈辱的な日」とまで言った。しかし、メキシコが米国を破ったため日本がベスト4進出。準決勝、決勝で計9打数5安打して世界一に貢献した。

 王監督とは期間中に「打撃が簡単だと思ったことはありますか」と聞くと「そんなことはなかった」と言われ、勇気づけられたという。ナインから“本当のキャプテン”と称されて王監督を世界一監督に導き、表彰式では日の丸の旗を持って、指揮官の下に駆け寄って抱きつき「こんな気持ちになったのは初めて」と語った。

 ■代打で94戦目メジャータイ

 ◆イチローの代打記録 今季94試合目の代打出場は、1983年メッツのR・スタウブと並ぶメジャータイ記録。史上初の年間代打100試合出場も現実味を帯びてきた。また、シーズン87打数はメジャー記録を更新中だ。一方、安打は25本となって、1995年ロッキーズのJ・バンダーウォルが作った年間28安打にあと3本と迫っている。

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