エスニックブーム、家庭料理に浸透 今夏、さらなる飛躍期待

総合 ニュース 2021.08.11 12273号 01面
品揃えの豊富さで差別化を図るスーパーのエスニック売場

品揃えの豊富さで差別化を図るスーパーのエスニック売場

 エスニックブームが家庭料理に浸透している。通関統計によると、ビーフンに代表されるコメを主原料にしためんの輸入量は昨年、前年比11.8%拡大し、うちフォーが主体のベトナムからの輸入量が同31.3%も伸長。メーカーサイドでも、多様なエスニック食品を展開するユウキ食品やケンミン食品で、昨年からこうした商品群の売上げが総じて好調という。背景に、SNSでガパオライスや生春巻き、フォーなどタイやベトナム料理に人気が集まる半面、コロナ禍で外食が制限される中、自宅で再現する動きに加え、メディアで家にいながら海外旅行の気分が楽しめる特集が増えていることもある。=関連記事12面(佐藤路登世)

 ユウキ食品では、エスニックメニューに使われる基礎調味料のナンプラーが20年上期(4~9月)、前年比69.2%増となった。ほか、ライスペーパー同30.4%、スイートチリソースも同23.3%も伸長。夏場に山を作る商品群だが、下期もナンプラーが同21.6%増となり、「上期にトライアルした調味料が定着し、リピートにつながっている」と分析する。

 メーカー側の商品施策も後押ししている。米めん専業のケンミン食品は、本格的なアジアめん料理が手軽に楽しめる「米粉専家(ビーフンせんか)」シリーズで、昨年秋と今春、パッケージのリニューアルを実施。注目の巣ごもりおうちご飯需要で、気分転換が図られる商品として訴求力を高めた。その結果、シリーズ5品の売上げが、昨年9月から今年2月までで同73%も伸長。主力の「ケンミン焼きビーフン」も同14%増となり、「中華エスニックメニューの根強い人気」(田中国男マーケティング部長)が実感できる。

 そもそもブームはコロナ前から始まっており、ベトナムからのフォー輸入量は直近の10年間、毎年拡大している。ユウキ食品でも19年4月~20年3月までのナンプラー売上高は前年比8%増、ライスペーパー同12.8%増、スイートチリソース同7%増と全体的に好調で一過性ではない。ただコロナ禍の巣ごもり需要で大きく跳ね上がった格好だ。

 両社とも今春以降も同様の傾向は続いており、この夏の猛暑で一層の飛躍を期待している。

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