意外に多かった中日投手の被本塁打
下の表は、今シーズンのセ・リーグで被本塁打が多かった投手をまとめたものである。
名前 | 球団 | 防御率 | 試合 | 投球回 | 被本塁打
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1 | 小笠原 慎之介 | 中日 | 4.84 | 22 | 119 | 21
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2 | ブキャナン | ヤクルト | 3.66 | 25 | 159 2/3 | 19
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2 | 原 樹理 | ヤクルト | 3.84 | 26 | 131 1/3 | 19
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4 | 石川 雅規 | ヤクルト | 5.11 | 23 | 123 1/3 | 18
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5 | 大野 雄大 | 中日 | 4.02 | 24 | 147 2/3 | 17
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今シーズンのセ・リーグで一番ホームランを打たれてしまったのは、中日の小笠原であった。小笠原は2015年のドラフト1位で入団した高卒の選手。今シーズンは22試合に登板して5勝8敗、防御率4.84と振るわなかったものの、高卒2年目ということを考えれば十二分な成績と言えるだろう。
小笠原の被本塁打21本というところよりも気になるのが、ホームランを打たれた投手上位5名を中日とヤクルトの選手が独占しているというところである。今シーズンのヤクルトはチーム防御率4.21でリーグ最下位。打たれたホームランも157本と一番多かった。中日もチーム防御率4.05でリーグ5位だったのだから、当然といえば当然の結果とは思う。
しかし、ヤクルトが本拠地としている神宮球場はホームランの出やすい球場であるので分かる話だが、中日が本拠地にしているナゴヤドームはホームランが出にくい球場として有名なところ。それでいて一番ホームランを打たれたのが中日の小笠原であり、ヤクルトの3投手を挟んで5番目に多かったのが中日の大野というのは、意外なところであった。
セ・リーグ球場の本塁打パークファクター
では、どれくらい神宮球場とナゴヤドームのホームランの出やすさは違うのだろうか。下の表は各球場の本塁打パークファクター(以下、本塁打PF)という数字をまとめたものである。
球場 | 球団 | 本塁打PF
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甲子園球場 | 阪神 | 0.63
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ナゴヤドーム | 中日 | 0.67
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マツダスタジアム | 広島 | 0.86
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東京ドーム | 巨人 | 1.34
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横浜スタジアム | DeNA | 1.34
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神宮球場 | ヤクルト | 1.65
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本塁打PFとは、簡単に言うとその球場でどれくらいホームランが出やすいかどうかを数値化したものである。詳しい説明は省くが、数値が1より上であれば本塁打が出やすく、1より小さければ本塁打が出にくいと考えてもらえればいいだろう。
ヤクルトが本拠地にしている神宮球場は、本塁打PFが1.65と普通の球場(という基準はないのだが)より1.5倍以上もホームランが出やすいという計算になる。逆にナゴヤドームは本塁打PFが0.67であるので、普通の球場と比べて7割程度しかホームランが出ない球場ということになる。
この本塁打PFは、そのシーズンのチーム状況等によって変化するものではある。今シーズンの東京ドームの本塁打PFは1.34であるが、昨シーズンは0.97であった。しかし、ナゴヤドームの本塁打PFは過去5年で0.7を上回ったことはなく、ホームランが出にくい球場である事は間違いない。また神宮球場も、過去5年で1.5を下回ったのは2013年の1.45のみと、こちらもホームランが出やすい球場で間違いはない。
なので、ヤクルトの投手の被本塁打を多くなるのは仕方がない部分ではある。しかし、中日の投手が被本塁打の上位に入ってくるというのは、かなり意外な話と言えるのだ。
もちろん小笠原も大野も、ナゴヤドームでの登板数が少なかったわけではない。小笠原は今シーズン、ナゴヤドームで登板したのは12試合。全登板数の半分以上がナゴヤドームであり、9本のホームランを浴びている。大野も同じくナゴヤドームでは12試合登板しており、7本も本塁打を浴びている。
被本塁打の少なかった投手は
では逆に、セ・リーグでホームランを打たれなかった投手は誰であろうか。下の表は、規定投球回以上投げた投手で被本塁打の数が少なかった選手をまとめたものである。
名前 | 球団 | 防御率 | 試合 | 投球回 | 被本塁打
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1 | メッセンジャー | 阪神 | 2.39 | 22 | 143 | 5
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2 | 井納 翔一 | DeNA | 3.84 | 25 | 152 1/3 | 9
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3 | 菅野 智之 | 巨人 | 1.59 | 25 | 187 1/3 | 10
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3 | マイコラス | 巨人 | 2.25 | 27 | 188 | 10
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5 | 野村 祐輔 | 広島 | 2.78 | 25 | 155 1/3 | 12
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5 | 大瀬良 大地 | 広島 | 3.65 | 24 | 145 2/3 | 12
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一番ホームランを打たれなかったのは、阪神のメッセンジャーで5本のみであった。今シーズンは怪我での離脱があったものの、22試合に登板し14勝11敗、防御率2.39という素晴らしい成績を残している。
阪神の本拠地である甲子園の本塁打PFは0.63と、今シーズンのセ・リーグで一番ホームランの出にくかった球場なので、確かにその影響もあるだろうが、規定投球回以上を投げて被本塁打が5というのはなかなか達成できる数字ではないだろう。
来季の被本塁打はどう変わる?
セ・リーグでは、ホームランの出にくいナゴヤドームを本拠地とする中日の選手が、一番被本塁打が多かったという意外な結果であった。この数字が来シーズンはどのように変わるのか。それもまた楽しみな話である。
2017/12/17 09:51
今季セ・リーグで一番本塁打を打たれたのは意外なチームの選手?
もっと読むここを改善すれば上位進出が見えてくるかも
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