2019年1月23日(水)

厚労省文書偽造事件、元係長に有罪判決 大阪地裁

2012/1/23付
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郵便料金不正事件で有印公文書偽造・同行使罪などに問われた元厚生労働省係長、上村勉被告(42)の判決公判が23日、大阪地裁であった。中川博之裁判長は懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)の有罪を言い渡した。弁護側は大阪地検特捜部の捜査資料改ざん・隠蔽事件を理由に公判打ち切りを求めていたが、中川裁判長は「検事による重大な違法行為はあったが、公判打ち切りしかない場合には該当しない」と退けた。

上村被告は当初、共犯とされた村木厚子・元厚労省局長(56)らとともに2009年7月に虚偽有印公文書作成・同行使罪で起訴されたが、10年9月に元局長の無罪が確定したため審理は約1年中断。検察側が求めた元局長の関与部分を除く形での訴因変更を同地裁が認め、11年8月に公判が再開していた。

上村被告は公判で「単独犯だった」と主張し、自称障害者団体「凜(りん)の会」元幹部らとの共謀も否定。その上で弁護側は「大阪地検特捜部の捜査資料改ざん・隠蔽事件などが原因で長期の審理を強いられた。公正な刑事手続きが阻害された」として、公判打ち切りを求めていた。

判決理由で中川裁判長は、改ざん事件について「検事による客観的証拠の改ざんは前代未聞で、捜査に問題があったことは明らか。被告に不利益があり、司法に対する国民の不信を招いた」と厳しく指弾。一方で「改ざんは本件起訴後であり、職権を乱用した違法、無効な起訴とは言えない」として弁護側の主張を退けた。

判決によると、上村被告は同省障害保健福祉部企画課の係長だった04年6月、凜の会を正規の障害者団体と認める公的証明書を偽造するなどした。

厚生労働省の話 職員が有罪判決を受けたことは誠に遺憾。判決はまだ確定していないが、司法の判断を厳粛に受け止め、再発防止に取り組みたい。

上村被告は判決前、弁護人を通じて「(事件を起こしたことで)村木さんら多くの運命を変えてしまったと反省している」とコメント。その上で大阪地検特捜部については「常設であるが故に存在意義を保つために功名をあせり、無理な捜査をするようになると思う」と廃止を望む意見を寄せた。

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