時計の針はなぜ右回りになったのですか?
質問者さゆりさん
放送日2018年8月24日(金)
- いわたわこさん(小学校3年生・福岡県)からの質問
- 科学の藤田貢崇先生が回答
- 日時計が発祥だから右回りになりました
科学 藤田貢崇先生
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放送日時:2018年8月24日(金)午前10時13分ごろ~午前10時20分ごろ
石山キャスター:石山智恵キャスター
藤田先生:藤田貢崇先生 (法政大学 教授)
永田先生:永田美絵先生 (コスモプラネタリウム渋谷 解説員)
わこさん:質問者
石山キャスター: | 続いては、福岡県のお友達です。おはようございます。 |
---|---|
わこさん: | おはようございます。 |
石山キャスター: | お名前と学年を教えてください。 |
わこさん: | 3年生の、わこです。 |
石山キャスター: | どんな質問ですか。 |
わこさん: | 時計はなぜ右まわりになったんですか。 |
石山キャスター: | どんなときに疑問に思ったの? |
わこさん: | 時計はいつも右にまわっているからです。 |
石山キャスター: | おうちの時計を見て、そう思ったのかな? |
わこさん: | はい。 |
石山キャスター: | では、藤田先生に聞いてみましょう。 |
藤田先生: | はい。わこさん、おはようございます。 |
わこさん: | おはようございます。 |
藤田先生: | 確かに、左まわりの時計って、見たことないですよね。 |
わこさん: | はい。 |
藤田先生: | いつも右まわりですよね。で、これはどうしてかっていうと、その理由は、今から4000年ぐらい前までさかのぼるんですね。ずいぶん昔に、この右まわりになった理由が隠されてるんですけど…わこさんは、「日時計」って知ってます? |
わこさん: | 知りません。 |
藤田先生: | 「日時計」っていうのは、太陽の動きを棒の影で時刻を知る…ごめんなさい、「今は何時かな?」っていうのを、太陽の動きで知るための時計なんですよ。でも、今みたいに、数字板があって丸くなってて、っていうものではなくて、太陽が出ているときにだけ使うことのできる時計なんですね。で、どんなものかなっていうのを簡単にイメージしてもらうために、まずですね、1本棒を立てる。平らなところに棒を立てます。そしたら、太陽って、どこの方角からのぼってくるか、わかります? 東とか西とかって知ってるかな? |
わこさん: | ……。 |
藤田先生: | あ。これは知らなかった、わからなかったかな。太陽って、いつものぼってくる方向って決まってますよね。朝、太陽ってどっちのほうから来るかな、っていうのは、わかるでしょう? |
わこさん: | …はい。 |
藤田先生: | 太陽っていうのは、朝は東からのぼって、そして南の空を通って、西の空に沈む、っていう動きを繰り返すんですよね。 |
わこさん: | はい。 |
藤田先生: | 陽の沈む方向から、太陽がのぼってくることはないですよね。 |
わこさん: | はい。 |
藤田先生: | いつも夕焼けが見えるほうの空から、太陽がもしのぼってきたら、そりゃ大変なことになりますけど、そんなことにはならないですよね。太陽の影っていうのは、太陽とは真反対の方向にできるんですね。もし、今、わこさんから見て、太陽が右手にあったとしたら、右手に太陽が、朝でも夕方でもどっちでもいいんですけど、もし、わこさんから見て、太陽が右側にあったとしたら、真ん中に、自分の目の前にある棒の影はどっち側にできるかな、っていうのはわかります? |
わこさん: | わかりません。 |
藤田先生: | 影って…さっきね、逆光っていうお話があったんだけれども。今、太陽に向かって、真正面にいるとします。いい? わこさんの目の前に、太陽がある。そのとき、自分の影は、どっち側にできます? 前のほうにできます? うしろのほうにできます? |
わこさん: | うしろ側? |
藤田先生: | うしろ側にできますよね、そうですよね。太陽と反対側にできるんですよ。で、ずっと同じところに棒を置いておいたら、その影って、どういうふうに動くかな? 朝から夕方まで、影の動きをじっと見てると、影って、右側からまわって下のほうを通って、左側にうつるように動いていくんですよね。 |
わこさん: | はい。 |
藤田先生: | そのときに右まわりなるから、その名残が、けっきょく時計にそのまま残って、時計は右まわりになった、っていう。日時計を使ったときの影の動きが右まわりだったから、今の時代も時計は右まわりになった、ということになるんですね。 |
わこさん: | はい。 |
藤田先生: | ただ、これって、実は人間の歴史と深い関係があって。もしも赤道よりももっと南の国で日時計が発見されていたら、たぶん時計の針は逆向きだったんですよ。 |
わこさん: | へえ。 |
藤田先生: | でも、人類の文化はその時にたまたま北半球で文明が栄えていたので、そのまま時計が右まわりでつくられるようになった、ということでしょうかね。 |
わこさん: | はい。 |
藤田先生: | わかってくれたかな。 |
石山キャスター: | わかりましたか。 |
わこさん: | はい。わかりました! |
藤田先生: | ああ、よかったです。南半球での影の動きっていうのは…いいんですよね? 永田先生。 |
永田先生: | そうですね。南半球では、東から、同じようにやっぱり東から太陽がのぼるんですが、北の空を通って西へ沈むんですね。 |
藤田先生: | そうですよね。 |
永田先生: | 北半球は南の空を通りますけど、南半球では北の空を通って西へ沈みます。のぼってきて沈んでいく方角は同じです。 |
石山キャスター: | 東からのぼって西に沈むと。 |
藤田先生: | もっと学年が進んで、東とか西とかっていうのが分かるようになると、今の説明がもっとはっきりするでしょうかね。ほかのラジオを聴いてるお友達のみなさんも、「ああ、そういうイメージか」っていうのが、今の永田先生のお話でも、南半球だと逆なんだ、っていうのがわかってくれたかと思います。 |
石山キャスター: | そうですね。わこさんも、どこか、住んでるところの近くに、日時計がないかなってちょっと探してみて、実際に太陽の影がどんなふうに移っていくのか、その日時計で見てみるのもいいかもしれませんね。 |
わこさん: | はい。 |
石山キャスター: | 元気に質問してくれて、どうもありがとう。さようなら。 |
わこさん: | ありがとうございました! さようなら。 |
石山キャスター: | なるほど、日時計だったんですね。わたしも勉強になりました。 |
番組情報
番組名 | 夏休み子ども科学電話相談 |
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番組HP | https://www.nhk.or.jp/radiosp/kodomoq/ |