ウクライナの路上に残される数々の遺体、ロシア後退後の首都郊外ブチャで

Ruined car in Bucha, 1 April

画像提供, Reuters

画像説明, ロシア軍が後退したブチャの路上には数々の遺体と破壊された車両が残されていた(1日、キーウ郊外ブチャ)

ロシア軍が軍事侵攻を続けるウクライナの首都キーウ(ロシア語でキエフ)から北西近郊にあるブチャで1日、ロシア軍が後退した後の路上に、複数の遺体が残されていることが明らかになった。市内にはロシア軍に殺害された約280人を埋葬した集団埋葬地もあるという。

ロシア軍後退後のブチャに入ったAFP通信記者は、路上で少なくとも20人の遺体を発見したという。そのうち少なくとも1人の男性は、両手を後ろに縛られていた。

キーウから約24キロ北西のブチャに入ったロイター通信のカメラマンも、路上に点在する複数の遺体や大破した車両、砲撃で大きな穴の開いた集合住宅などを撮影している。

動画説明, ウクライナ首都郊外に残された数々の遺体 ロシア軍車列の残骸も

ウクライナ軍は数日前にブチャを奪還。現地の映像からは、激しい破壊の様子が見て取れる。

ブチャとは別に、BBCのジェレミー・ボウエン中東編集長と取材チームはキーウ西郊の高速道路で、ロシア軍に殺害されたとみられる13人の遺体を発見。そのうち2人はかつて殺害の様子がドローン映像に捉えられていた民間人の夫妻で、他の犠牲者の一部はウクライナ兵だった可能性がある。

Positions around Kyiv

注意:この記事にはショッキングな内容が含まれます。これより先には、遺体が写る写真も掲載しています。

2月24日に始まったロシアの軍事侵攻に、ウクライナ軍は徹底抗戦を続けている。ウクライナから少なくとも400万人が避難する中、西側はロシアに厳しい経済制裁を科し、軍事援助も供与している。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、かつてソヴィエト連邦の一部だったウクライナが北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)加盟を目指しているのは、ロシアにとって常態的な脅威で、そのためロシアは「安全を実感しながら発展も存在もできない」と、ウクライナ攻撃を正当化している。

ロシア軍は軍事侵攻開始から首都キーウに迫り、近郊を制圧していた。しかし3月末になるとロシア軍はキーウ近郊から後退を開始。一部のウクライナ当局者は2日までに、首都周辺の全域をウクライナ軍が奪還したと述べている。

ロシア軍が後にしたブチャで、AFP通信の記者が目視した20人の遺体のうち16人は、歩道や緑地のそばに倒れていた。3人は通りの真ん中に横たわり、1人は破壊された民家の中庭で横向きに倒れていた。

白い布で両手を後ろ手に縛られ倒れていた人の隣には、ウクライナのパスポートが開いて地面に置かれていた。

ほかに2人が上腕部に白い布を縛り付けられていた。

注意:これより先には、遺体が写る写真を掲載しています。

ウクライナ当局はAFP通信に対して、死亡した男性たちはロシア軍の砲撃かロシア兵の射撃で死亡した可能性があるとして、警察が捜査すると話した。

一方、ブチャのアナトリー・フェドルク町長はAFP通信の電話取材に対して、発見された20人の遺体はすべて後頭部を銃で撃たれていたと話した。さらに、砲撃で破壊された複数の車両の中にも、複数の遺体が残されているという。

ロシアの軍事侵攻の結果、ブチャの町は280人を集団埋葬したと、町長は話した。

Journalists witnessed bodies lying on the street

画像提供, AFP

画像説明, 路上に点在する遺体(2日、ブチャ)