5月19日(水) >>
谷繁 5割復帰弾
故郷・広島で決めた150号
 勝率を5割に戻す一発だ。中日は3連勝と勢いに乗った。谷繁元信捕手(33)のプロ通算150号本塁打は勝ち越しの2ラン。18日の広島戦(広島市民)。谷繁にとって、生まれ故郷の広島で区切りのアーチが飛び出し、中日は4−3で競り勝った。150本塁打のうち、3分の1に当たる50本が広島戦。ふるさとのチームにめっぽう強い。

広島−中日 4回表無死一塁、谷繁が左中間に通算150号の5号勝ち越し2ランを放つ=広島市民球場で(内山田正夫撮影)

3連勝!!さあ貯金ロードだ

 高々と舞い上がった打球の行方を見つめながら、谷繁がゆっくりとベースを回る。プロ野球人生で味わう150回目のベースラン。生まれ故郷・広島の地で、ベテラン捕手が史上136人目の偉業弾を打ち上げた。

 「ちょっと詰まってたんですけどね。150号を打った試合で勝てて、それが本当に良かった」

 メモリアルアーチは4回。アレックスの同点弾が飛び出した直後だった。走者・井上を一塁に置いてカウント2−2から広島の左腕・高橋の5球目。思い切り振り抜いた打球は一気に広島の夜空へ。プロ野球史上136人目の通算150号ホーマーは、中日が試合の主導権を取り戻す貴重な2ランとなって左中間スタンドへ突き刺さった。

 通算149号本塁打を放ったのは12日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)。チームはその後、横浜との3連戦を控えていた。

 「できることなら横浜戦で決めたい」

 プロ野球選手・谷繁を育ててくれた古巣を相手に記念のアーチを放ちたい−。だが、その横浜3連戦は8打数1安打。川上の一発に助けられたものの、打線が沈黙した15日の試合後は、何も言わずに黙々とロッカールームで素振りを繰り返す谷繁の姿があった。

 「まあ、(150号は)長いことやってますんでね。試合中? そんなことは考えませんよ。どうやって勝つか、それだけ。中継ぎ陣も頑張ってくれました」

 古巣との戦いには間に合わなかったが、生まれ故郷で放った記念の一発。自らのバットで逆転に成功した後は、マスクをかぶり竜投をリード。主に捕手を本業とした選手で150本塁打を達成したのは谷繁が別表のように8人目。「136分の8」という数字が、捕手・谷繁の存在を際だたせる。

 「きょうのようなしぶとい試合を勝つことでチームも強くなるんです」

 打って守って、頼れる看板捕手のフル稼働で、チームは勝率5割復帰。連勝は開幕以来の「3」に伸ばした。

 「100号もこの球場(広島市民)? ああ、そうだっけなぁ。まあまあ、みんな、僕はまだやっていくんだから、そんな終わりみたいな言い方しないでくださいよ」

 谷繁にとって、150号はあくまで節目。生誕の地で放った区切りの一発が、さらなる一歩を踏み出す新たな原動力となる。 (寺西雅広)



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