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「BONSAI」輸出ピンチ EU、突然の規制強化(1/2ページ)

2009年4月12日5時10分

写真:生産業者の農園では、長さ約30メートルの盆栽棚に輸出できなくなったモミジやカエデの盆栽約1500鉢が並ぶ=埼玉県内生産業者の農園では、長さ約30メートルの盆栽棚に輸出できなくなったモミジやカエデの盆栽約1500鉢が並ぶ=埼玉県内

写真:英国向けに輸出される予定だったモミジの盆栽。EUの緊急措置で輸出できなくなった=横浜市南区の「横浜植木」本社英国向けに輸出される予定だったモミジの盆栽。EUの緊急措置で輸出できなくなった=横浜市南区の「横浜植木」本社

 「BONSAI」として欧州で根強い人気の日本の盆栽と庭木の輸出が危機に直面している。出荷ピーク直前の昨年10月、欧州連合(EU)が突然、輸入規制を強化したためだ。世界的な不況が追い打ちをかけ、在庫は積み上がるばかり。業者からは「ダブルパンチ」と悲鳴が上がる。

 日本の盆栽と庭木が欧州で広まり始めたのは40年ほど前。今では専門誌が発行され、「ボンサイマスター」と呼ばれる専門家も誕生。五葉松やモミジ、カエデといった種類が人気で、贈り物としても利用されている。農林水産省によると、おもに埼玉、茨城、島根などで生産され、東京港や横浜港、名古屋港などからEU向けに年間約60万本が輸出されている。

 盆栽の土に害虫が入り込んでいる危険性があるが、欧州各国は人気を背景に、厳しい栽培基準を設けた上で輸入を許可してきた。

 しかし、昨年10月15日、EUの欧州委員会は突然、盆栽の輸入規制強化の緊急措置を施行すると世界貿易機関(WTO)に通報した。オランダに輸入された庭木からゴマダラカミキリが見つかったことがきっかけだ。

 モミジやカエデなど特に関東で栽培が盛んな盆栽、庭木を「ゴマダラカミキリが寄生する植物」と指定し「ゴマダラカミキリが侵入しない施設で2年間生育されたもの」以外は、輸入を認めないとする内容。日本の業者がこれまでしていなかった網室内での栽培が新たに必要となり、今季と来季の輸出は事実上できなくなった。

 生産者や専門商社は、たじろいだ。盆栽の輸出シーズンは11月〜翌3月。商談がまとまり、さあ出荷という時期に重なったからだ。

 生産が盛んな埼玉県の場合、07年にEUに輸出した約7万本のうち、規制対象になった種類は約4万4千本と6割以上。約20社でつくる埼玉県輸出盆栽研究会の小櫃(おびつ)敏文会長は「景気が悪くて国内は売れない。そのうえ、輸出もダメ。どうしようか、という感じ」。別の業者は「モミジ3千鉢以上が在庫になった」と話す。

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