博士学位取り消しについて

早稲田大学
2013/10/21
2013/12/26追記

 早稲田大学は、下記のとおり、不正の方法により学位の授与を受けた事実が判明しましたので、当該学位について、授与の取り消しを決定しました。現在、本人に学位記の返還を求めています。(注:後日学位記の返還があった。2013年12月26日追記)

  • 氏名:晏 英〔博士(公共経営)、大学院公共経営研究科2010年9月15日授与〕
  • 論文タイトル:「近代立憲主義の原理から見た現行中国憲法――ソ連的マルクス主義の影響を踏まえて――」
概要

 博士学位授与論文において、少なくとも64カ所にわたり不適切な引用がなされており、そのうち12カ所においては晏氏自身の見解であるとして論述されている部分について、他者が作成した文献から無断で盗用している。早稲田大学学位規則第23条(※)に規定されている「不正の方法により学位の授与を受けた事実」にあたると認定。

経緯

 2011年8月に公共経営研究科事務所に、匿名で、注記部分に不適切な引用が2カ所ある旨の電話による通報があった。これに対しては、その当時、不適切な引用ではあるものの本文中ではなく注記であり論旨に関わる重要な部分ではないため、直ちに当該学位を取り消すまでの不正行為と断定するに至らなかった。2012年10月にも同様の通報があり、2012年11月に実施した公共経営研究科の内部調査において通報内容を含め不適切な引用行為が認められたため、2012年12月、政治経済学術院に研究倫理委員会を設置し、論文全体における不適切な引用行為の調査をおこなった。さらに2013年2月に、早稲田大学に対して剽窃の疑いがある旨の告発があった。2013年4月から9月までの間に実施した晏氏及び関係教員から事情を聴取した内容もふまえ、最終的な調査結果を取りまとめ、「不正の方法により学位の授与を受けた事実」があると認定、2013年9月25日の大学院公共経営研究科運営委員会、2013年10月18日早稲田大学研究科長会を経て、学位取り消しを決定するに至った。

再発防止と処分

 本学では、授業もしくはオリエンテーション、研究科要項への記載、リーフレットの配布、オンデマンド講義などによって、正しい引用の方法と剽窃などの不正行為の防止に取り組んできたが、研究倫理について改めて周知徹底をはかるとともに、大学院公共経営研究科および政治経済学術院において、このような事態を引き起こした原因を制度的・構造的側面から解明し、在学生への一層の啓発措置、集団での研究指導の更なる充実、論文の類似度判定調査、論文審査委員会での論文中の引用の抜き取り確認などの取り組みを行うなどの再発防止策を講じる。

鎌田薫総長のコメント

 この度、学位論文に係る剽窃等の不正行為が判明し、本学が授与した博士学位を取り消すに至ったことは、極めて遺憾であります。今後、全学を挙げて再発防止に努めてまいります。

※学位規則(学位授与の取消)

第23条 本大学において博士、修士または専門職学位を授与された者につき、不正の方法により学位の授与を受けた事実が判明したときは、総長は、当該研究科運営委員会および研究科長会の議を経て、既に授与した学位を取り消し、学位記を返還させ、かつ、その旨を公表するものとする。

2 (略)

公共経営研究科からのお知らせ

博士学位取り消しにあたって

以上