三笠宮妃百合子さま、激動の100歳人生 防空壕生活、5人の子育て

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多田晃子
【動画】100歳の誕生日を迎えた三笠宮妃百合子さま=宮内庁提供

 三笠宮妃百合子さまは4日、百寿となる100歳の誕生日を迎えた。宮内庁によると、明治以降の皇族では、100歳で逝去した夫の三笠宮崇仁さまと並んで最長寿。百合子さまは宮内庁を通じて文書で、子育てをしていた時期について、三笠宮さまをはじめ多くの人々が支えてくれたことを「深い感謝の念を抱きつつ思い起こしております」と振り返った。

5人の子どもを育て

 百合子さまは1923(大正12)年6月4日、故・高木正得(まさなり)子爵の次女として誕生。太平洋戦争開戦前夜の41年10月22日、18歳で昭和天皇の末弟、三笠宮さまと結婚。5人の子どもを育てた。三笠宮さまは2016年、100歳で逝去した。

 宮内庁によると、現在の百合子さまは東京・元赤坂の宮邸で健やかに過ごしている。

 健康のため、午前中は15分程度、テレビ番組の体操やリハビリ体操の運動に励む。天気が良い日は庭で日光浴をしたり、車いすで赤坂御用地内を散策したり、四季折々の自然を楽しんでいる。

 複数の新聞や雑誌を読むことを日課とし、テレビのニュースや野球中継を楽しみにしているという。

「これからも人々の幸せを祈念」

 100歳にあたって文書で寄せたお気持ちでは、結婚後は皇族としての公務を果たしつつ、三笠宮さまを支える日々を送ったとし、「家族一人一人の歩みが分かるように写真アルバムを作成したり、5人の子供たちの育児日誌をつけたりと、時間に追われながらも充実した毎日を過ごしておりました」と回想。現在は孫や8人のひ孫の成長を楽しみにしているといい、「これからも人々の幸せを祈念しつつ、日々を過ごしてまいりたい」とした。(多田晃子)

1歳の長女を抱え、防空壕

 2022年に刊行された故・三笠宮さまの伝記「三笠宮崇仁親王」(伝記刊行委員会編)に収められた百合子さまのオーラルヒストリーでは、孫の彬子さまが聞き手として百合子さまに11回のインタビューを実施。夫と歩んだ激動の日々を語っている。

 伝記などによると、百合子さまは戦時中、住まいが空襲で全焼し、当時1歳の長女甯子(やすこ)さんを抱え、防空壕(ごう)生活を余儀なくされた。

 宮家の防空壕には、青年将校らが何人か次々に来て、戦争の継続をめぐって激論になったと明かす。

 「みんなもっと戦争を続ける…

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    島康彦
    (朝日新聞ネットワーク報道本部次長)
    2023年6月5日14時59分 投稿
    【解説】

    目標とするのは百合子さま――。女性皇族方が目指すべき皇族像として名前をあげるのが、百合子さまだと聞きました。戦時中には宮邸が全焼し、防空壕で生活。戦後は貧しさの中でも明るさを失わず、常に三笠宮さまを支えたそうです。 2016年。逝去された

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