フィギュアスケート企画

強い心で困難に挑む

宮原 知子
2012年7月5日
スケートについて話す宮原知子

 宮原知子のリラックス方法は快眠することだという。「どこにいても眠れるときは寝るようにしています。先生からも『気が付くと熟睡している』とからかわれるくらい」。学校が終わるとまっすぐにリンクに向かい練習を続ける毎日。当然ながら睡眠時間は少なくなる。

 こまめに質の良い休養を取ること、補うことはどのスポーツにも共通する重要な要素。「あとは読書をすること。好きなジャンルは特になく、まんべんなく読んでいます」。元来、宮原は勤勉な性格だという。「知子はスケート中心に生活しながら、学校の勉強もよくやっているし成績もとても良い。その頑張りにはいつも感心しています」(濱田美栄コーチ)という文武両道ぶり。

 世界の舞台で活躍するようになってもなお、学生の本分を忘れず学業に励み続けるのはなかなかできることではない。142センチというきゃしゃな体でありながら、トップアスリートとなるにふさわしい強靭な精神力を持ち合わせる。

 宮原が目指すのは「スピードがあって、大きく滑れるようになること」だと言う。具体的に目標にしている選手を尋ねると、ほほ笑みを浮かべながら首をかしげ「今度のプログラムがとても難しいので、今はまず、それを滑りこなしたい」と丁寧に言葉を選んだ。

 新シーズンの宮原はショートもフリーもプログラムを一新する。ショートプログラムは「春の声」(ヨハン・シュトラウス2世、1882年作曲)でワルツに挑戦する。スケートの基本、クロスカットが4拍子なので3拍子のワルツを滑るのは実は難しい。先シーズンではマ・メール・ロワの変拍子(フリープログラムのマザーグース組曲)を滑りこなした宮原の新しい課題でもある。「去年のショートはタンゴで今年はワルツ。今のうちにいろいろなものを滑る経験をしてほしいと思い、あえて難しいワルツを選びました」(濱田コーチ)というプログラムは宮本賢二氏の振り付けによるもの。

 「リズムを取るのが本当に難しくて、何度も何度も転んで練習しています。今は少し手応えを感じていますし、このプログラムをとても気に入っている」と、宮原は新シーズンに向けて頼もしい言葉を口にした。