2010.6.24 05:00
人工衛星による気象や地球観測データの利用サービスが拡大している。民間気象情報会社のウェザーニューズは、将来の北極海航路開設をにらみ、海運会社向けの流氷情報を拡充しようと、近く超小型衛星を打ち上げる。衛星データ解析のビジョンテックは、農業や漁業分野の開拓を目指す。地球温暖化対策が世界的にクローズアップされるなか、日本の高度な衛星データの解析サービスは、防災や環境対策を急ぐアジアなど海外からも注目されている。
「リアルタイムで高精細画像を提供することでユーザーのニーズに応えたい」。
小型衛星打ち上げを計画するウェザーニューズの安部大介グローバル気象センター・グループリーダーは、大きなビジネスチャンスに胸を膨らます。
地球温暖化で、北極海の氷が10年前に比べて20%程度減少。この影響で2008年夏に、わずか1カ月だが、初めて大型船舶が航海できる北極海航路が出現した。既存の日本~欧州航路に比べて、航海期間を約4割短縮できる北極海航路は、海運業界にとってまさに夢の航路だ。
正式な航路開設には課題があるが、開設されれば船の安全運行に、ウェザーニュースが提供を計画する流氷情報は欠かせなくなる。
衛星データを利用して地域ぐるみでコメの品質向上に取り組むのは、衛星データ情報解析のビジョンテック(茨城県つくば市)とJAつくば市だ。人工衛星に搭載されたセンサーを使って、イネの反射赤外線量から、コメのうまさの決め手となるタンパクの含有量を割り出す。どの田んぼのコメにタンパクが多いか分布図を作ることで、肥料を減らす対策にもつながる。
高まる評価 日本の宇宙技術
続々と受注決まる