宇宙ビジネスに“商機” はやぶさ帰還で日本の衛星データに脚光 (1/3ページ)

2010.6.24 05:00

主な衛星利用データサービス

主な衛星利用データサービス【拡大】

 人工衛星による気象や地球観測データの利用サービスが拡大している。民間気象情報会社のウェザーニューズは、将来の北極海航路開設をにらみ、海運会社向けの流氷情報を拡充しようと、近く超小型衛星を打ち上げる。衛星データ解析のビジョンテックは、農業や漁業分野の開拓を目指す。地球温暖化対策が世界的にクローズアップされるなか、日本の高度な衛星データの解析サービスは、防災や環境対策を急ぐアジアなど海外からも注目されている。

 「リアルタイムで高精細画像を提供することでユーザーのニーズに応えたい」。

 小型衛星打ち上げを計画するウェザーニューズの安部大介グローバル気象センター・グループリーダーは、大きなビジネスチャンスに胸を膨らます。

 地球温暖化で、北極海の氷が10年前に比べて20%程度減少。この影響で2008年夏に、わずか1カ月だが、初めて大型船舶が航海できる北極海航路が出現した。既存の日本~欧州航路に比べて、航海期間を約4割短縮できる北極海航路は、海運業界にとってまさに夢の航路だ。

 正式な航路開設には課題があるが、開設されれば船の安全運行に、ウェザーニュースが提供を計画する流氷情報は欠かせなくなる。

 衛星データを利用して地域ぐるみでコメの品質向上に取り組むのは、衛星データ情報解析のビジョンテック(茨城県つくば市)とJAつくば市だ。人工衛星に搭載されたセンサーを使って、イネの反射赤外線量から、コメのうまさの決め手となるタンパクの含有量を割り出す。どの田んぼのコメにタンパクが多いか分布図を作ることで、肥料を減らす対策にもつながる。

  • 産業技術総合研究所が開発中の衛星画像データベース「GEOGrid」による九州南部の鹿児島県と宮崎県県境付近に広がる霧島山の画像。簡単に衛星画像にアクセスできれば、利用の可能性が広がる
  • はやぶさから分離し、大気圏に再突入するカプセルの想像図(JAXA提供)
  • 探査機「はやぶさ」が地球に向けてカプセルを放出するときの想像図(宇宙機構、池下章裕さん提供)
  • 飛行する小惑星探査機「はやぶさ」の想像図(宇宙航空研究開発機構提供)

注目サイト