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福田氏vs麻生氏 世襲首相、様々な「遺産」

2007年09月21日00時57分

 自民党総裁選で舌戦を展開している福田康夫元官房長官と麻生太郎幹事長は、ともに元首相を父や祖父に持つ世襲議員だ。「地盤(組織)・看板(知名度)・カバン(金)」と言われる政治の世界。政治資金と資産の中身をのぞくと、2人が受け継いだ様々な「遺産」が見えてくる。

図

2人の資金力は

 ■グループ企業が支える麻生氏

 母方の祖父は吉田茂元首相、父の太賀吉氏は九州有数の財閥「麻生グループ」を率いた元衆院議員――。麻生氏の家系図をたどると、華麗な「政治家一家」の横顔が浮かびあがる。

 ところが、麻生氏の秘書は「後援組織も一からつくった。いわゆる世襲議員とはまったく違う」と、親の地盤を引き継いだとの見方に反論する。

 父親は自民党が結党された55年に衆院議員を引退した。麻生氏が初当選したのは79年。「親の地盤などは引き継がれていなかった」(事務所)という。

 しかし、資金面を見ると、麻生氏にとって親の「遺産」の存在感が際だつ。福岡県飯塚市の麻生氏の事務所にある「自民党福岡県窯業支部」は、05年に麻生商事から300万円、アソウレジコンから450万円と、セメント業を中心とする麻生グループの関連企業から献金を受けている。

 80年に亡くなった父親から麻生氏が相続した東京・渋谷の自宅は、約2500平方メートルの敷地に約720平方メートルの3階建て洋館を構える。付近の公示地価をもとに計算すると、土地の価格は約25億円。

 母親も96年に亡くなった際、麻生氏ら遺族に約11億円の課税対象となる遺産を残した。

 麻生氏はほかにも、福岡の自宅敷地や軽井沢の別荘、グループ企業の株式を多数所有。親から受け継いだ資産は政界有数と言われる。

 ■元首相の「カバン」引き継ぐ福田氏

 「ブッシュ氏が親子で大統領になっているのはすごいですね。日本じゃ親子ではならないでしょうが」。2年前、同僚議員との共著でこう語っていた福田氏だが、父親の故・赳夫氏は76年から78年まで首相を務めた。

 赳夫氏が引退表明した89年、赳夫氏の政治団体「千代田経済懇話会」と「福田経済研究会」の総収入合計は約3億1300万円に達していた。翌90年、福田氏は53歳の遅咲きながら、後継者として衆院選に出馬し初当選。「二つの政治団体もこの年に引き継いだ」(事務所)という。

 企業・団体献金の窓口となっている地元の政党支部は、赳夫氏の時代から献金の「常連」だった東証1部上場の化学会社を始め、都内と地元の企業からまんべんなく寄付を受けている。

 95年に死去した赳夫氏が遺族に残した課税対象の遺産は約9億円。福田氏は群馬県高崎市の土地約1940平方メートルなどを受け継いだ。東京都世田谷区の自宅の土地も、一部は赳夫氏の持ち物だった。今は地上3階地下1階のマンションに建て替えられ、福田氏が116平方メートルの1戸を所有している。

 世襲について、福田氏は90年の衆院選で「独立した1人の人間として見て頂きたい」と強調していた。

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