日本消化器外科学会雑誌
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腹腔鏡下胆嚢摘出術の経験
河合 泰博加藤 仁司枡本 博文小澤 和恵
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1992 年 25 巻 3 号 p. 871-875

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抄録

仏国, 米国などで胆石症の治療法として開腹術による胆嚢摘出術のかわりに腹腔鏡下胆嚢摘出術が普及しつつある.われわれは1990年7月より腹腔鏡下胆嚢摘出術を開始した.胆嚢結石症および胆嚢ポリープ症例のうち, 急性炎症症例, 上腹部に手術既往を有する症例, 総胆管結石症例は適応より除外した.原則として, 点滴静注胆道造影検査にて胆嚢が造影されない症例も適応から除外した.施行症例は188例で17歳から80歳, 平均47歳であった.手術時間は最初の10例の平均は140分であったが最後の10例の平均は59分で, 急速に習熟したことを示している.最短は27分であった.術後合併症として, 2例に胆汁流出を認めたが翌日には自然に止まった.皮下気腫も2例に認めたが, 数時間で消失した.術中, 術後に開腹した症例は1例もなかった.腹腔鏡下胆嚢摘出術は術後の痺痛も軽微で美容にもすぐれ, これからの胆石治療としてますます繁用されるであろう.

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