IMF、アフガニスタンによる資産使用を停止
ベス・ティミンズ、ビジネス担当記者、BBCニュース
国際通貨基金(IMF)は18日、アフガニスタンによるIMF資産の利用を認めないと表明した。
アフガニスタンでは先週末、タリバンが全権を掌握した。
IMFの広報担当は、アフガニスタンでタリバンが樹立する政府を承認するのか、「国際社会で明確になっていない」ことが理由だと説明した。
IMFは今月23日、経済危機への世界的な対策の一環として、アフガニスタンに3億7000万ドル(約410億円)を送金する予定だった。
IMFはまた、特別引出権(SDR)の資産についても、アフガニスタンが利用できないようにした。この資産は政府保証の資金に変換可能なもので、英ポンド、米ドル、ユーロ、円、中国元の価値に基づいてIMFが換算相場を決める。
IMF広報は、「これまでどおり、IMFは国際社会の見解に従う」と付け加えた。
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アメリカ国内の資産を凍結
これに先立ち米政府は、アフガニスタン政府がアメリカで保有している中央銀行資産について、タリバンが利用できないようにするとBBCに明らかにした。
一方、米連邦議会議員17人は、アメリカのいかなる支援金もタリバンに渡らないよう保証することを求める書簡を、ジャネット・イエレン財務長官に送った。
書簡では、「アメリカや同盟国へのテロを支援していた過去がある政権に、SDR配分によって5億ドル近くを無条件流動性資産として提供する可能性があるのは、極めて心配だ」とした。
アフガニスタン中央銀行トップのアジュマル・アフマディ氏は、米中央銀行の連邦準備制度理事会にあるアフガニスタンの資産約70億ドルを、アメリカがアクセスできなくしたと述べた。
アフガニスタンを15日に離脱したアフマディ氏は、中央銀行の保有資産は先週時点で約90億ドルだったとツイッターで説明している。
資産の大半は国際的な慣行に沿って、米長期国債や海外の金資産など、安全で流動性のある形で保有しているという。
また、「タリバンが今も国際的な制裁リストに載っていることからすると、それらの資産は凍結され、タリバンは使用できなくなると予想される(確実になっている?)」と、アフマディ氏はツイートした。
「タリバンがアクセスできるのはおそらく、アフガニスタンの国際資産全体の0.1~0.2%だろう。たいした額ではない」
米ドルが供給されず
アフマディ氏はさらに、米政府がドル資金の送金を停止しており、アフガニスタンの通貨アフガニの価値が下がっているとした。アフガニは実際、過去最低レベルに下落している。
「現地の銀行は顧客に対し、ドル資産の引き出しには応じられないと言っていることだろう。(アフガニスタン中央銀行が)ドルを供給していないからだ」
「これが真実だ。資金が盗まれたり金庫に保管されているからではなく、すべてのドル資産は凍結された国際口座にあるからだ」
IMFは6月、アフガニスタンに対し、昨年11月に承認済みの貸付金を送った。国連は6月、「タリバンの主な収入源は犯罪活動のままだ」とする報告書を公表。「麻薬取引やアヘンケシの生産、ゆすり、身代金目当ての誘拐、鉱物の搾取、タリバンの支配や影響が及ぶ地域における税収」などが含まれるとした。
世界銀行も、アフガニスタンで多くの開発プロジェクトに資金を提供しており、2002年以降で53億ドルに上っている。BBCは現状についてコメントを求めたが、まだ回答はない。
民間の米送金大手ウエスタンユニオンも、アフガニスタンへの送金を「今後通知があるまで」停止している。
IMFはこれまでも、加盟国の過半数が承認していない政権に対して、同様の対策を取ってきた。2019年4月には、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を加盟50カ国以上が承認しなかったころから、同国がSDRを利用できないようにした。ミャンマーで国軍が政権を掌握した後も、支払いを止めた。
IMFは23日には、加盟190カ国に対し、SDR 6500億ドルの配分を終える。