「ここ、いいですねえ」 ドライブ・マイ・カー、監督は一目ぼれした

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能登智彦
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 広島市中心部から車で約2時間。「ドライブ・マイ・カー」の撮影隊は、瀬戸内海のほぼ「へそ」にある大崎下島の東端・呉市豊町御手洗(みたらい)にも訪れた。

江戸時代に栄えた港町、監督「うーん、いいですね」

 御手洗は江戸時代、航路の拠点として栄えた港町で、吉田松陰らも立ち寄ったとされる。往時を感じさせる街並みの一角にある築約150年の建物を生かした宿「閑月庵(かんげつあん) 新豊(しんとよ)」は、濱口竜介監督が「ぜひ、ここで撮影したい」とほれ込んだロケ地だ。映画では西島秀俊さんが演じる主人公・家福が滞在し、予告編にもシーンが映る。

 2020年8月の昼過ぎ。ロケハンで訪れた濱口監督は2階の大きな窓が特徴の客室に上がると、古い家具が置かれた畳敷きの部屋にゆっくりと正座し、大きな窓と目の前に広がる海や島の景色をしばらくじっと見つめていた。

 宿の運営会社「よーそろ」の井上明さん(43)は、濱口監督と同じように正座し、後ろ姿をおそるおそる見守っていた。そして、濱口監督が静かにこうつぶやいた。「うーん、ここ、いいですねえ……」

■宿の運営会社「深みのある景…

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