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鉄道まるっと切り抜き帳

「エル特急 目的は達成」 JR来春ダイヤ改正で愛称廃止

リニア・鉄道館に展示されている「しなの」に使われた車両=名古屋市港区で

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「L」のロゴがあしらわれた「しなの」のヘッドマーク

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 JRグループが来年3月17日に実施するダイヤ改正で、「しなの」「ひだ」「しらさぎ」の3列車から「エル特急」の愛称が外される。鉄道旅行を身近にした立役者が姿を消すことになるが、エルの名付け親である須田寛・JR東海相談役(86)は「当初の理念が達成された上での卒業」と感慨深げだ。  

 エル特急は「数(かず)自慢、かっきり発車、自由席」をコンセプトにした特急列車の総称。1972(昭和47)年、国鉄旅客局営業課が企画し、須田さんは課長として準備に携わった。新幹線の運行体系をモチーフに、毎時ゼロ分など等間隔で始発駅を出て、割安な自由席も選べる列車を一日に複数本運転した。

 須田さんはエルの由来について、直行を意味する「Liner(ライナー)」に加え、人々にかわいがってもらえる「Little(リトル)」の意味も込めたと振り返る。当時の新幹線「0系」の先頭車をイメージして丸みを持たせたデザインで「L」のロゴマークも制定。駅の表示や時刻表にも登場させた。

 最盛期の昭和50年代後半には全国で30種類を数えるまでに。増発すれば乗客も増える状態で、当時は新幹線に次ぐ利益率の高さを誇った。須田さんは「それまでは列車ダイヤに旅程を合わせるのが普通だった。高頻度運行のエル特急は乗客に選択肢を与えた画期的な商品」と胸を張る。

 その後は一般の特急列車も本数を増やすなどエル特急に近い運行体系に変化してきたことから、民営化後のJR各社は相次いでエルの愛称を廃止。最後まで残ったのが東海の3列車だった。「目的は達せられた」と、生みの親である須田さん自身が廃止を提案した。

 須田さんは、気軽に利用してもらえる将来の特急列車はリニア中央新幹線だとして「これからのエル特急はリニアのLだ」と語り、リニアが人々に愛されるよう期待を込めた。

(久野賢太郎)

 

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