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言葉のタネ明かし「1貫」銭1貫でにぎり寿司2個

 最近はにぎりずしの数え方が昔と変わってきているのではないかという気がする。回転ずしを含めたどこのすし店でも、またスーパーで売っているパック入りのすしでも、みんな「1カン」が1個になっている。

 20年ぐらい前までは、2個を1カンとして出してくれる店が少なからずあったはずだ。古い記憶だけに間違っているのかなと不安になったので「数え方の辞典」(小学館)を開いてみた。すると「最近では1個を1貫で数えるように変化しています」とある。

 辞典の「最近」がいつのころ以降を指すのかよく分からないが、語源の上からも元々は2個で1カンだったことが推測できる。先の辞典の記述にも見えるように、カンは貫と書く。江戸時代のにぎりずしが穴あき銭1貫分の特大サイズだったため、後に食べやすいように2つに分けて2個にぎるようになった。つまり、2個で1貫分。だから1カンは2個なのだ(いじましい話ながら、1カンが1個では損をしているような…)。

 ところで先日、ネットの通販のページで 餃子(ぎようざ)を20粒というふうに粒で数えているのに出合った。「1粒で2度おいしい」のグリコのように、餃子も1個より1粒の方がおいしそうに思えるからかな? だったら、すしも1カンなどという紛らわしい表示をやめて、1粒にすればいいのに…。(産経新聞大阪編集局校閲部長 清湖口敏)(2007.10.04紙面掲載)

投稿日: 2007年10月24日

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