2023年12月7日（木）に東京・有楽町よみうりホールで屋良朝幸が主演を務めるオリジナル・ミュージカル『The Agent』が開幕する。12月6日、初日前日に会見が行われ、屋良をはじめ、彩吹真央、愛加あゆ、寺西拓人、原嘉孝、植木豪、TETSUHARUらが登壇。本作への意気込みなどを語った会見と公開ゲネプロの模様をお伝えする。（公開ゲネプロは彩吹真央、BON.井上出演回）
本作は、2016年より4年連続で上演し、2019年に完結したミュージカル『THE CIRCUS！』シリーズのチームが再集結し痛快アクション劇を展開する新作のオリジナル・ミュージカル。ダンサー・振付家・演出家として活躍するTETSUHARU起案の『THE CIRCUS！』シリーズは、アメコミをイメージした壮大な世界観に、オリジナリティ溢れる歌やダンス・アクションなど圧巻のパフォーマンスを詰め込んだエンターテインメントショーとして観客を魅了していたが、『The Agent』もその期待を裏切らない仕上がりとなっている。
俳優としての活動のみならず、振付やLIVEプロデュースなど多方面で活躍する屋良朝幸が、『THE CIRCUS！』シリーズに引き続き、本作でも主演を務めており、相棒を殉職させてしまった自責の念から、自堕落な賭ファイターとして生計を立てる元FBI捜査官のレン・マークスを演じている。
物語は、地下賭博場ファイトクラブで、ファイターとして自堕落な生活を送っているレン（屋良）が、ある日、謎のファイター・ザック（植木）と対戦して惨敗し、クラブを追い出されてしまうところから始まる。このレンとザックのバトルシーンから心躍る演出が施されている。激しいダンスと共に緩急をつけて繰り出される攻撃。躍動感のあるバトルに冒頭から目が釘付けになった。
それから打ちひしがれて帰路についたレンは偶然強盗現場に出くわし、同じくファイターのT.J.（寺西）とともに撃退するも誤認逮捕されてしまうことに。留置場の中でT.J.からどうしてファイターになったのか聞かれたレンは、最強コンビとうたわれた相棒・ジェフと共にFBI捜査官として活躍していたものの、自分のミスで相棒を殉職させてしまったことでFBIを辞職したことを明かす。屋良が魅せる哀愁に、レンが抱える“罪の意識”の重さを感じた。
そんなレンを保釈してくれたのはジェフを失ってから疎遠になっていた姉のライラ（彩吹）だった。ジェフの妻、娘を持つ母、そしてレンの姉として大きな包容力を感じさせるライラに思わず感情移入してしまう。
一方、アメリカ西海岸のデルタシティでは、コスメブランド『マーダーズ』が注目を集め、オーナーのマリー（可知寛子）とミリー（BON.井上）のローズ姉妹が、超人気インフルエンサーとして絶大な支持を集めていた。しかし姉妹には、表向きは実業家として名をはせる怪しげな男ホセ・ロドリゲス（北園涼）との黒い噂があり、さらにホセが腕利きの暗殺者、リッキー（高橋駿一）を雇ってただならぬ空気感を醸し出していた。
犯罪組織やテロ集団などに対抗するため発足された国連の諜報機関U.N.I.S.に所属するデュプリー（木内健人）と、部下のカート（原）は、そんな事件に立ち向かうべく活動しており、ホセたちを追いながら、FBI捜査官として優秀だったレンをエージェントとして引き込むべく暗躍していた。
辛い過去を背負いながらも国家を超えた国連の諜報機関、U.N.I.S.のメンバーとして奮闘し、復活を遂げていくレンの物語を展開している本作。迫力のある歌やダンス、アクションなど圧巻のパフォーマンスを詰め込みつつ、相棒との絆、友情、さまざまな“家族愛”を丁寧に描きだしている。
公開ゲネプロの後に行われた会見には、屋良をはじめ、彩吹真央、愛加あゆ、寺西拓人、原嘉孝、植木豪、TETSUHARUらが登壇。屋良は「2023年のラストにとんでもなくシビれる公演が来たなと思っています。今年40歳になって、こんなに動くのかと自分でもびっくりしました。想像以上に激しく動く熱いステージになっています」と語り、「怪我だけは気を付けて最高に熱いステージを繰り広げていきたいと思っているので、観ていただけたらと思っています」とコメントした。
TETSUHARU、植木は屋良が十代の頃からのダンスの“師匠”で、『THE CIRCUS！』シリーズでも絆を深めてきた。屋良は「『THE CIRCUS！』が完結してからTETSUHARUさんに会った時に『またやりたい』と話していたのですが、こうしてまた一緒にステージを作れて本当にうれしいです」を嬉しそうに語った。
そんな屋良の“師匠”の一人で、本作では謎の男・ザックを演じる植木は「『THE CIRCUS！』をTETSUHARUさんの演出の下、屋良さん達とやってきたのですが、『The Agent』はその集大成というか、さらに新しい演出をされていて。今回はキャストのみなさんが歌も素晴らしくて、お芝居も素敵なので、本気で挑まないといけないなと感じました。全員で戦って、お客様にすごいエナジーを届けたいと思っています」と意気込んだ。
レンの姉で、正義感が強いジャーナリストであるライラ・サマーズは、『THE CIRCUS！』チーム初参加で、宝塚歌劇団OGで先輩後輩の間柄である彩吹真央と愛加あゆがWキャストで務めている。彩吹は「想像以上に歌も踊りもアクションもお芝居も熱いものを感じる作品に仕上がったなと、この作品に出演できて嬉しいと思っています。屋良っちが40歳だと聞きましたが、初めて出会ったときは20代だったので大人になったなと。初めて出会ったときより色気というか、大人になったなと姉目線で感じています」としみじみ語った。
愛加は「さきほどゲネプロを拝見させて頂いて、ダブルキャストということで、作品を全部拝見できるという貴重な機会を頂いてるのですが、TETSUHARUさんワールドはこれか！と感じています。毎日稽古場で『骨の仕組みと筋肉がどうなっているだろう』と思っていたのですが、お客様にもそのすごさが伝わると思います」と本作の魅力を伝える。
レンと同じく地下賭博場で賭ファイターをしているT.J.役を務める寺西は「とにかく皆さんに見ていただけるのが楽しみです！ ここまで踊るのは、個人的にこの現場だけなので刺激的です」と笑顔でコメント。また、40才ながらいまだにパワフルでキレのあるダンスと芝居を見せる先輩・屋良について「僕が同い年だったらステージ立ちたくないぐらいの体の動きで、年々進化するんですよ、年齢に逆らって。だから本当に裏で努力されているんだろうなとひしひしと感じています」と語り、「うちの事務所にいる作品としては最後となるので、そこに花を添えるような後輩でいたいと思っています」と意気込む。
U.N.I.S.のエリート捜査官、カート・スミス役の原は「『THE CIRCUS！』を2回ほど観ていて、このキャストの中に入れることに緊張もありましたが、屋良くんという大きな背中をみながら、作品を盛り上げるようにがんばります」と先輩への信頼を見せた。
そして、企画・演出・上演台本を務めるTETSUHARUは「素晴らしいキャストとスタッフに囲まれ、プレッシャーの中ではありましたが、ようやく初日を迎えられます。皆さんが本当にがんばってくださるので、それに報いなければという思いがずっとあります。運動量の多い作品にはなっていると思いますが、キャラクターのもっている人生観や大きなテーマの中で、それぞれのキャストが伸び伸びと生きているさまを観ていただきたいです」とメッセージを送る。
最後に、屋良が「2023年ラストにふさわしいくらい熱いステージが繰り広げられています。様々なスペシャリストが集まっていて、みんなが主役に見えるぐらい個性が際立っていて面白いです。ぜひ楽しみにしていてください」とアピールし、会見を締めくくった。
オリジナル・ミュージカル『The Agent』は、12月24日（日）まで東京・有楽町よみうりホール、2024年1月13日（土）からは兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演。上演時間は1幕約1時間15分、休憩20分、2幕約50分の約2時間25分を予定。
（取材・文・撮影＝エンタステージ編集部3号）
オリジナル・ミュージカル 『The Agent』公演情報
スケジュール
【東京公演】2023年12月7日（木）～12月24日（日） 有楽町よみうりホール
【大阪公演】2024年1月13日（土）・1月14日（日） 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
スタッフ・キャスト
【企画・演出】TETSUHARU
【脚本・作詞】福田響志
【音楽】坂部 剛
【キャスト】
屋良朝幸
彩吹真央／愛加あゆ(Wキャスト)
寺西拓人、原嘉孝、木内健人、高橋駿一
なかねかな／BON.井上(Wキャスト)
北園涼、可知寛子
植木豪
ほか
