ABOUT THIS PAGE |
当ページは、北米におけるアキバ系の話題やアニメイベントを紹介するサイトです。
掲載記事は、記者の自己解釈も交えながら製作しています。ご了承下さい。
当ページについて、詳しい説明はこちらをお読みください。
|
SEARCH |
|
LINKS |
| |
|| 2009年07月04日 |
AX 2009 内藤泰弘・西村聡 Focus Panel
アニメエキスポ特集第5回目は、3日目に行われた、トライガン作者の内藤泰弘さんとアニメ版監督の西村聡さんのパネルを紹介したいと思います。
トライガンと言えば、米国では爆発的人気を誇り、現在の多くのオタクファンのバイブルとなった作品として知られています。そんな作品のパネルとだけあり、会場には開始前から多くのファンが参加していました。
また、今回のパネルでは、世界初のプロモーションビデオ(以下PV)が上映されることなので、開始前から多くのファンが駆けつけていました。
さらに、会場ではコスプレイヤーが集まりプチ撮影会が始まりました。そして、その様子を見ていた作者の内藤さんも飛び入り参加。作者と一緒に写真撮影が出来て、ファンは皆嬉しさで興奮していました。内藤さん自身も、米国のファンとの交流に早くも興奮気味でした。

パネルに参加したコスプレイヤーと共に写真を撮る内藤さん(写真中央) ではさっそく、今回の内藤さん、西村さんのQ&Aを紹介します。(質問順)
質問と回答は全てイベントで言ったことを紹介します。
なるべく、本人が言った通りに書いていますので口語風になっている部分があります。ご了承ください。
(内=内藤泰弘 西=西村聡 神=神宮司訓之)
では、本文をスタート。イベント当時の雰囲気をお楽しみ下さい。
挨拶
内:Good Morning!
Yo! What's up!?
皆さん本当にこんな10年前の作品なのに、こんなに集まっていただいて。
僕の親戚の子供はその10年前は生まれてませんでした。本当に皆さんがこんなに熱く歓迎してくれることに本当に感謝してます。
西:こんにちは、ロサンゼルスの皆さん。監督の西村です。
今日はアメリカの独立記念日だということで、こんな特別な日に皆さんにお会いできることを非常に光栄に思います。
トライガンは、もう大分古い作品ですけれども、こうやって、これだけの人たちが集まってくれているだけで、非常に感無量です。
知ってらっしゃる方も居ると思いますが、今日は皆さんに初めての(プロモーション)映像をお届けに参りました。皆さん楽しんでいってください。
神:お二人のおまけで着いてきたメカニックデザインの神宮司訓之です。
もちろん今回の作品にもメカニックデザインとして参加させていただいています。
本当は、あと30分ぐらい喋っていたいけど、きっと皆(PVが見たくて)そわそわしてるんでしょ?
例の映像が見たくて、そわそわしてるんでしょ?
もうちょっと待て。(笑)
では、Mr.内藤。
内:えっとですね。話はもう3年前に遡るんですけど、アメリカの会社から「映画を作らないか」という話が持ちあがりまして、「トライガンの人気というのが、根強く浸透しているので、是非その人たちに応える形での映画が出来ないか」と言われました。
そして、3年間色々右往左往するがあったんですけど、途中で頓挫することなく僕たちはずっと頑張ることが出来ました。本当に、今日ここに居る方々一人一人忘れないで頂きたいことがあります。
10年ぶりに、動くヴァッシュとウルフウッドが出てきますけれども、その動くトライガンは、あなた方がその環境を作ってくれて、これはあなた方の為だと思ってください。
ありがとうございます。Thank you!
西:え~では皆さん待ちに待ったかと・・・それではお願いします。

質問前に早速PVが流され、ファンは早くも興奮気味に!? 内:(会場の盛り上がりに)おぉぉおおぉ!?
神:ビデオを持ってる手が震えますねぇ。本当にありがとうございます。
西:今、この場で、皆がこれだけ盛り上がってくれて非常に私も感激してます。
この(録画している)ビデオは今日本で製作しているスタッフに、皆さんの温かい歓迎を伝えたいと思います。
パネルにならないですね。(笑)
まだ製作中なので、完成したわけではありませんが、これからAXが終った後、私どもは誠心誠意製作させていただきます。
内:でもですね、監督はその前にマイケル・ジャクソンの追悼をしないといけないので、花を贈りに行こうと思ってます。
西:マイコ~(泣)
内:マイコ~(泣)
内:ええっと、僕はですね、この映像をほぼ1週間前に貰いまして、もう既に45回ぐらい見てます。
この映像を見たときに、10年前のテレビシリーズの第1話を、初めて出来上がった物を見て感動と拍手をしたときのことを鮮明に思い出しました。
僕は個人的に西村が作るトライガンが大好きです。
監督の作るもの、今回のものを見て、「絶対間違いない」と思いました。
司会:そろそろ質問を始めてもいいですか?
西:僕は感動で言葉が出ないので
内:OK!
内:(大勢のファンが列を成したのを見て)おぉお!おおおお!言ってよ、そうなるんだったら。
ありがとう。止められねぇな。
では、どうぞ!
1.内藤さんに質問です。トライガンはアニメ版と大きく違っていますが、内藤さん自身で、原作とアニメは違うものにしようと思ったんですか?
内:僕は、トライガンをアニメーションにしてもらって、その数年後に自分の作品を完結することが出来たんですけど、アニメーションのトライガンは、僕にとって全力で越えなければいけない山でした。
何とかして、このアニメに、個人の力で対抗できるものを作りたいなと思って、同じ事(ストーリー)をすると、後からやったやつがつまらいなので、あえて、本当にボロボロになりながらも(違うストーリーで)描き続けました。
それは、作品の方向性の違いに出ている理由だと思います。
2.内藤さん、アメリカに来てくださってありがとうございます。ガンホーガンズのエレンディラ・ザ・クリムゾンネイルというキャラクターについての質問ですが、エレンディラはニューハーフですが、このタイプのキャラクターはアクションや西部劇には珍しいですが、このキャラクターはどういったインスピレーションで作ったんですか?
内:えっとですね、僕はキャラクターを作る時に、全体を見て、被っているかどうかを非常に気にして、バランスが取れているかを気にします。
ガンホーガンズを全員並べた時に、ひとつも個性が被ってないことを心情に作りました。
そこに何か一人誰かという時に、オカマが出てきました。
僕の持論なんですけど、男の人の体力と女の人のメンタリティーを持っている、性別の壁を越えて自分を肯定しているオカマの人種は、史上最強だと思うんです。
だから、エレンディラを最強にしました。
3.こんにちは、僕はトライガンの全てが大好きですが、特に音楽が大好きです。質問ですが、新しい映画も今堀恒雄さんが音楽を手がけますか?また、今堀恒雄さんはどういう人ですか?
西:非常にいい質問をありがとうございます。今回も音楽は今堀さんにお願いしています。
もう大分前ですけど、打ち合わせをしました。彼は仕事で、今は作業に入れて居ません。ですが、皆さんにテレビシリーズの楽曲を書いてくれると私は信じています。楽しみにしていてください。
今堀さんという人は、非常に天才肌の人で、セコイ理屈をこねる自分からすると、神のような存在です。彼のおかげで、トライガンという世界がひとつの大きなまとまりを持ってくれたかなと思っています。
彼の音楽は、僕の別の作品、「はじめの一歩」でもお願いしています。
僕にとっては、何人かいらっしゃる恩人の一人です。
4.内藤さん、トライガンを作っていただいて本当に感謝しています。私にとって、あの作品は伝説的です。
内:本当にありがとうございます。むしろ、今回アメリカの皆さんの声で、こうやって、アニメーションが一本出来るという形が出来たことが、日本のアニメーションの新しい伝説となると思います。
質問者:質問ですが、トライガン以外になにか新しい作品が出てきますか?
内:今ですね、単行本にはなってないんですけど、集英社のジャンプSQという雑誌で読みきりを何本か描いています。ニューヨークが一晩で別の世界と繋がってしまって、向こうの世界の住人と共存したり、争ったり、まあ、そこ自体が昔の上海みたいになって、色んな事件が起こる。そんなマンガを描いています。タイトルは「血界戦線」と言います。
すいません、全部日本語でまだ翻訳してないんですけど、結構自分で、楽しんで描いてます。これ描いたら、ていうか、ここに居る間にもちょっとずつ進めなきゃいけなんですけど、是非まとまったら読んでください。
5.内藤さん、こんにちは。僕は、子供のときからトライガンが大好きです。質問は、内藤さんから見て、アメリカのファンやアニメ事情についてどう思いますか?
内:えっと、僕も最初にアニメエキスポに来た時に、ここまでアニメが受け入れられていることを想像もしていなかったです。98年にアニメエキスポに来た時、日本ではトライガンの放送が始まったばかりで、結構海のものとも山のものともつかない者だったんでけど、ここまで温かく迎えてくれたことを覚えています。
僕は、このアニメがどっと入ってきて10年になるので、今度は定着してくる時期に入ってきているのでは無いかと思います。今度は、アニメとアメリカの文化が融合して、ここからまた何か新しいものが生まれてくることを楽しみにしています。
6.こんにちは、お二人に質問があります。内藤さんに質問ですが、ヴァッシュとウルフウッドには誰かモデルになった人はいますか?
内:え~ヴァッシュは、自分が1から作ったんですけど、ウルフウッドは実際にモデルにした人が居ます。日本では「ウルフルズ」というバンドのボーカリストのトータス松本さんという方がいらっしゃいまして、僕あの人の鼻の形がすごく好きで、鷲鼻なんですけれども。
注意してもらうと分かるんですけど、ウルフウッドの鼻は相当にこだわって鷲鼻にしています。
質問者:西村さんに質問です、ブラックラグーンの新作が出る予定はありますか?
西:ブラックラグーンは、確か、1話の絵コンテのみ参加していました。監督が別の方がやっていますので、その監督に気にっていただければ、またブラックラグーンのお仕事をお手伝いするかもしれません。
7.ここに居る人は多分全員トライガンを読み終わっていると思うので、質問しますが、なんでウルフウッドは死んだんですか!?(会場から大きなブーイングが起こる)
内:He is alive.
作品が作られる限り彼を見ることが出来ますので、あまり、ちょっと死んだぐらいで気にしないで下さい。
質問者:もう一つ質問です。黒猫様のアイディアはどこから出てきたのですか?
内:えっと、漫画家って、そうちゃんと考えてないんですよ。
質問者:でも、アニメの中では毎回出てきますよね?
内:あれは、アニメだけなんですよ。僕は、マンガの中では、単行本のデザインの中で入れるだけで、マンガの中で出たのは多分1回か2回ぐらいです。
西:黒猫様はウォーリーだと思ってください。

質問を聞く、西村さん(中央)と内藤さん(奥)。神宮司さんは終始撮影に専念 8.こんにちは、お二人に質問があります。内藤さんに質問ですが、ヴァッシュや西部劇風のアイディアはどうやって考えられたのですか?
内:ヴァッシュのキャラクターというのは、僕はアクション映画を見て、人が簡単に死ぬということが、とても不思議だというか、ちょっと違和感があった。
死んでしまうのは良いんですけど、簡単に殺すっていう選択をすぐしてしまう流れに、なんで簡単になってしまうのか疑問に思ってました。なので、すごく腕の立つ、強いガンマンなんですけど、「まぁ、謝って済むなら、それでいいじゃないか」というキャラクターとしてヴァッシュを作りました。
質問者:西村さんに質問です、人気の高い作品やトライガンシリーズを作っていて、なにかプレッシャーを感じたことはありますか?
西:今この場で感じております。(笑)
他にも大きな、ビッグタイトルの作品を手がけたことがあって、プレッシャーじゃないといえば嘘になりますが、うまく受け流すことを考えています。
9.トライガンには、モラルや教訓や宗教的な教えなどが沢山盛り込まれていますが、そういう考えはどこから来ているんですか?
内:僕はですね、初めに申し上げると、実は全くの無宗教なんです。色んな教訓的なことは僕は分からないんですけど、僕は常に自分自身に問いかけながら作りました。
もし、それが教訓的なものだとしたら、僕自身の人格が高いんですね。
10.内藤さんは、マンガ以外にアニメやゲームなど沢山手がけていますが、その中でどれが一番、仕事として好きですか?
内:色々やっていますけど、僕はマンガが僕を作ってくれたと思ってます。トライガン・マキシマムの最終回を描き終わったあの最終回と、あと、あのウルフウッドが最後進で行くところって言うのは、僕の中でも、本当に死に掛けるような勢いで考えて自分をいじめて描いた作品で、満足な結果を出した。そこが、自分の中でも誇りに思ってます。
11.トライガンは、SFと西部劇が上手く融合した作品だと思いますが、その世界観は何を元に考えたれたんですか?
内:僕は、スターウォーズっていう作品のニューホープ(邦題:エピソード4 / 新たなる希望)がベストなんですけど、まあ、タトゥイーンという砂漠の星があって、僕はあそこに住みたいと思った。
あと、当時僕は、ジョン・ウーの映画が大好きだった。あんな風に銃を撃ちたいと思ってた。
両方が融合してトライガンになったということです。
12.この後トライガンのストーリーあるいは外伝が続くことはありますか?
西:僕はテレビシリーズのトライガンで一つのストーリーが完結していると思っていますので、なんていうのかな、「同じトライガンで別の意味で、違う形ならあるのかな」と思ってます。僕は作品を作る中で、出来るだけ映像の中で僕が言いたいことを全部表現しようと考えています。出来てるかどうかは別なんですけど。
テレビシリーズのトライガンと同じことはおそらくしないと思います。ああ、残念に思われちゃったか。
トライガンシリーズで新しいことをすることを僕の中で見つけられたら、当然ながら企画を進めたいと思います。
13.僕は、トライガンを見て、将来はアニメーターか漫画家になって、これぐらいすごい作品を作ってみたいと思ってますが、何かアドバイスをいただけますか?
西:アニメーションのクリエイターになりたいなら、そうですね、自分の好きなものを常に好きだと言えるような人になることが第一だと思ってます。
日本のアニメーションの業界には、決して絵がかける人ばかりが集まっているわけではありません。ですが、絵が描けないなりに、映像に携わっている人が沢山居ます。
もし、絵が描けないからアニメーションを諦めるのは、僕はまだまだ早いと思っています。
自分の好きなものを作りたいという情熱を忘れないで下さい。
内:それでは漫画家についてですけど、漫画家になるのは実は簡単です。
誰かが面白いと思う作品を描いて、それをお金に換金できる人が全て漫画家になっています。
とにかくですね、マンガを描かないで漫画家になった人が有史以来一人も居ないんですね。
だから、一本でも多くの作品を最後まで終らせることを何度も繰り返して、自分の力を磨いてけば大丈夫です。終らせた回数だけ、スキルが上がる。
14.アメリカのファンがこれだけトライガンの新しいシリーズを見たがっていて、劇場版がつくられましたが、他にどんな事がきっかけで、新しい作品を作ることになったんですか?
内:オファーがあれば良いなと僕らは放送当時から思っていたので、きっかけを作ってくれたのがアメリカの会社の方でした。
その方から聞いたのは、「色んなアニメの作品が出ているけど、定着してずっと愛されるというのは、とても少ない」と、言っていました。
「しかし、アメリカのファンというのは、一回その作品を愛してくれると、長くその作品のことを忘れない」と、その方は言っていました。
---------
以上がトライガンパネルの状況でした。
今回のパネルで特記する点は、やはり、劇場版が製作されたきっかけについて内藤さんが語っていた、「アメリカのファンが映画を作った」というところですね。以前から米国におけるトライガンの人気の高さは、認識していましたが、今回はその人気度を示したパネルになりました。
また、今回のパネルで、心待ちにしていた新作の発表、そしてそのPVが一番に見れた幸せで皆、一杯だったようです。今回のパネルは、米国のファンが、トライガンを本当に愛していることが伝わるパネルでした。
今回は以上です。
次回は、4日目に行われたガンダム00パネルを紹介します。
文・写真 ヨシ沢
|
|
|
| |
EVENTS |
|
VISITORS |
|
PR |
| |