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ニュースリリース
受動喫煙は認知症のリスクを増大させる
〜米国神経学会で発表〜
2007年6月14日 禁煙広報センター

  カリフォルニア大学バークレー校のタデウス・ヘイト研究主任らは、5月に「受動喫煙によって認知症のリスクが増大する」と第59回米国神経学会の年次総会で発表した。本研究は、受動喫煙と認知症の関連を示した初めての調査である。

 本研究は、認知症でない65歳以上の3,602人に対し、心臓血管の健康状況、および喫煙の有無、認知症の発症状況について6年間にわたり追跡調査を実施したものである。調査開始時点において心血管疾患と認知症の両症状がない非喫煙者は985人だった。そのうち受動喫煙していた495人(30年未満:300人。30年以上:195人)と、受動喫煙していない471人とを比較。30年以上にわたって受動喫煙していたグループは、受動喫煙していなかったグループに比べて、認知症の発症率が約3割高いという結果が出た。

 さらに、脳へ血液を供給する頚動脈の異常との関係も示された。長年受動喫煙にさらされ、超音波画像診断により頚動脈の異常が検出された人は、受動喫煙をしていない、頚動脈の異常もない人に比べて、認知症を発症させる確率がおよそ2.5倍だった。

 ヘイト氏は「認知症を引き起こす影響のある他の要因を制御して、今も分析を続けている。しかし、本研究結果は、受動喫煙が高齢者における認知症のリスク要因としての可能性を示唆した。本研究は、受動喫煙の危険性についてのエビデンスを追加し、公の場での受動喫煙の減少を求める更なる政策を支持する」とまとめている。

 この研究結果について、慶應義塾大学医学部精神神経科の藤澤大介先生は、次のようにコメントしている。

 「2大認知症とよばれるアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症のいずれの認知症も、喫煙がリスクファクターであることはすでに確立していた。受動喫煙が心血管系にもたらす悪影響も周知のことであり、両者を考えあわせると、今回の報告は納得のいく結果といえる。
 認知症のリスクファクターには、高血圧、糖尿病、飽和鎖脂肪酸、中年期におけるコレステロールの過剰摂取、喫煙などが判明しており、肥満の改善、適度な運動、頭を使う活動、健全な食生活、適正飲酒、禁煙が推奨される。今回の結果から、受動喫煙の害も含めて、改めて禁煙の重要性を強調すべきだろう。
 今回の報告では、長期間にわたる受動喫煙が認知症発症のリスクを高めることがわかった。今後は、これまで受動喫煙していた人が、受動喫煙をやめてリスクが低下するかどうか、すでに認知症を発症している人が、受動喫煙の改善に伴って、認知症の進行が緩和されたりするかどうか、などが評価されていくことが期待される。」


参考文献
AMERICAN ACADEMY OF NEUROLOGY

この件に関する問合せ先
禁煙広報センター (http://www.kin-en.info) 屈岡(くつおか)/坂本
電話: (03)5445-1273 ファックス:(03)5427-7325
e-mail:info@kin-en.info
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