関西国際空港会社が、関空2期島(528ヘクタール)の用地のうち237ヘクタール分について、約3年前から埋め立て工事を完成直前でストップさせていることが分かった。造成中の用地は固定資産税がかからず、借入金の金利負担など決算上の費用を低く抑える会計処理も使えるため、完成を遅らせているとみられる。完成すれば、同社の収支は年40億円ほど悪化し、赤字転落は必至となる。
関空会社と子会社・関西国際空港用地造成会社(KALD)は、1999年から2期島の工事を始めた。うち291ヘクタールについては完成させ、2007年から第2滑走路や誘導路などとして運用を開始。将来は駐機場などに活用される残りの237ヘクタールも同年までに埋め立てをほぼ完了した。
公有水面埋立法は、免許で指定された高さまで埋め立てた時点で、速やかに工事完了の手続きを行うよう規定。2期島の場合は標高7.5メートルが完成ラインで、必要な土砂も島内に搬入されていた。しかしKALDは、237ヘクタール分については最後の約60センチ分の土盛りを残して埋め立てを中断。その後は、護岸の一部で工事を続けている。
埋め立てを完了させない理由について、工事の経緯を知る関係者は「税負担や会計上の費用を減らす目的があった」と説明する。
「未完成」の237ヘクタール分は完成させると土地として登記され、関空会社は年10億円程度の固定資産税を支払う必要がある。しかし、完成しなければ法的には「海面」扱いとなり、税負担は生じない。
また、2期島造成のため金融機関などから借り入れた資金の金利負担は、完成後は同社の費用として決算に計上されるが、造成中であれば一時的に別勘定(建設仮勘定)に入り、費用を実際より少なく見せる会計上の効果もあるという。