墜落した航空自衛隊小松基地のF15戦闘機(小松基地提供)

墜落した機体の引き揚げ準備を進める作業船=14日午前10時50分、加賀市沖

 航空自衛隊小松基地のF15戦闘機が離陸直後に墜落した事故で、空自は14日までに、墜落現場付近の海中から搭乗していた2人の遺体を発見したと発表した。1人は11日、もう1人は13日に見つかった。搭乗員2人の死亡が確認され、空自トップの井筒俊司航空幕僚長(元小松基地司令)は「優秀な操縦者2人を亡くしたことは痛恨の極み」とのコメントを出した。

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 F15に搭乗していたのは小松基地に拠点を置く飛行教導群の群司令、田中公司1等空佐(52)と、同群の植田竜生1等空尉(33)。2人乗りで田中1佐が前席、植田1尉が後席に座っていた。

 航空幕僚監部によると、11日午前11時50分ごろ、海上自衛隊の隊員が潜水して捜索していたところ、機体がレーダーから消えた基地から約5キロの海域で遺体を発見。空自のヘリで海自艦艇から小松基地に搬送して身元を確認し、13日に発表した。

 さらに13日午前9時10分ごろ、現場海域で海自の隊員が新たに遺体を見つけ、同様に海自艦艇から基地へ移送した上で身元を特定し、14日に明らかにした。空自は事故調査への影響を理由に、11、13日にどちらの隊員が見つかったかは明らかにしていない。

 F15は1月31日午後5時半ごろ離陸し、右方向に旋回してから洋上でレーダーから消えた。この海域では垂直尾翼など機体の主要部分が海中から見つかっており、空自は墜落したと判断している。

 空自のこれまでの捜索で、水平尾翼やエンジン排気口、燃料配管などの一部がそれぞれ見つかっている。空自が委託した民間のサルベージ船は14日までに金沢港に到着しており、準備が整い次第、機体を引き揚げ、原因究明を進める。加賀市沖では作業船が引き揚げのため、現場海域の状況を確認した。

 小松基地の石引大吾司令は「ご冥福を心よりお祈りするとともに、ご家族にお悔やみを申し上げる。航空事故調査による原因究明の内容を踏まえ、同種事故の防止に努め、飛行の安全に万全を期していく」とコメントした。

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