「鉄人28号」「三国志」などのマンガ家横山光輝さん(69)が高校時代に描いた未発表作の生原稿(116枚)が、14、15日に東京都古書籍商業協同組合が組合員を対象に開く「全古書連大市会」で入札にかけられる。横山さんが、別の未発表作と共に高校時代の友人に譲ったもので、一昨年にテレビ東京系の「開運! なんでも鑑定団」で2作合わせて1150万円と評価された。落札額が注目されるが、横山さんは「不愉快」と話している。
題名は「三つ子の鉱夫」。アメリカ・ニューメキシコの鉱山に三つ子の鉱夫が入っていく。デビュー前の1950年の作品で、水彩絵の具で淡く彩色されている。
マンガの生原稿は、有名作家の物なら古書店で1枚数万〜十数万円の値段が付く。川崎市市民ミュージアムのマンガ担当学芸員・細萱(ほそがや)敦さんによると、有名作家のマンガ原稿が、これだけまとまって売りに出されるのは珍しいという。
同組合は「業者間での取引で、売り主は明かせない。また、落札者と落札額も、外部には公表できない」と話している。
細萱さんは「今後はマンガ家の死後に遺族が売りに出すような形で、原稿が市場に出るケースは増えるだろう。生原稿は貴重な史料で、公共の図書館や美術館が収蔵するのが望ましい。しかし、高い値が付くと買えなくなる」と話す。
なお、落札されても著作権は横山さんにあり、無断で出版はできない。
〈横山光輝さんの話〉あげた物なのでどうされようとご自由だが、売りに出されるのは不愉快。1150万円なんて、そんな価値はない。
(04/12)
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