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ホッキョクグマ、米が絶滅危惧種に提案 温暖化政策変化

2006年12月28日

 米内務省は27日、北極海の氷がとけて生息が脅かされているホッキョクグマについて、米絶滅危惧(きぐ)種法で保護の対象となる「絶滅危惧種」に指定すると提案した。北極海の氷については、米国立大気研究センターなどが今月、大気中の温室効果ガスがこのまま増えると、40年夏までに大半がとけてなくなる、という試算を発表したばかり。温室効果ガスの排出削減に消極的だったブッシュ政権の政策に変化が表れ始めたのではないか、との見方も出てきた。

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北極域に夏が訪れて、餌場の海氷が遠く去った後、陸地に残って餌を探しながら暮らすホッキョクグマの親子=今年7月、スバールバル諸島(ノルウェー領)で

 米内務省によると、ホッキョクグマは現在、世界に2万〜2万5000頭が生息。このうち約4700頭がアラスカ州とその周辺にすんでいる。

 北極海の氷は近年、10年間で約10%ずつとけて減っている。氷はホッキョクグマの餌場であり、子育てにも欠かせない。このため、氷がとけることは、生息数の減少の大きな要因になっていると考えられている。

 ブッシュ政権は従来、地球温暖化が二酸化炭素などの温室効果ガスの影響かどうかは「わからない」という立場を堅持。先進国に温室効果ガスの排出削減を義務づけた京都議定書から離脱するなど、温暖化対策には消極的だった。

 しかし、米内務省はこの日の発表にあたり、「ブッシュ政権は気候変動に真剣に取り組み、温室効果ガスの役割も認識している」と、姿勢の変化の兆しともとれる表現を使った。

 世界の政府機関や科学者らでつくる国際自然保護連合(IUCN)はすでに今年5月、絶滅の恐れがある動植物を掲載した「レッドリスト」06年版に、ホッキョクグマを追加している。しかし、具体的な保護対策は、各国政府などに委ねられている。米国で、同国の絶滅危惧種法のリストに入れば、政府機関に生息数を回復させる計画の策定などが義務づけられる。

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